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武者修行の為に16日に日本を発った酒井忍騎手に迫った

 「今と同じ乗り方では帰ってきたくない」言葉に力を込めた。
 来年1月から3カ月間、シンガポールで騎乗するため、16日に日本を発った酒井忍騎手(川崎・八木仁厩舎)は、廃止された新潟競馬の河内義昭厩舎から1991年にデビュー。2001年に川崎へ移籍し、今年11月のハイセイコー記念で地方競馬通算1300勝(重賞30勝)を達成した。新潟時代に続き南関東でも常にトップテンに名を連ね、川崎を代表す騎手の一人として活躍する。
 順調に勝ち鞍を伸ばし、騎手生活も16年を数えるが、それでもなお「騎手としての自分に、精神的にも肉体的にもまったく満足していない」と話す。「乗り役という仕事が好きだから、とことん追求したい」柔和な笑顔の中には、職人気質の硬派な意志がひそむ。

 「今は毎日競馬があって時間もないし、ある意味マンネリ化してしまっている部分がある」それを打ち破るための海外遠征だ。「シンガポールは世界の上位騎手が集まっているから、騎乗技術を盗んでこようと思ってるよ。それと、時間ができるから肉体改造も」申請から4カ月待って、ようやく進化のチャンスをつかんだ。
 今でも「毎日、木馬に乗って、大好きなデットーリ騎手のレースビデオを見てから競馬に行く」という“競馬オタク”な酒井忍騎手。「今からスーツケースを買いに行かなきゃ」と出発前日に笑っていたが、3カ月後にはどんな男になっているのか。ほれちゃうかも…なんて楽しみにしている。

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