“一本釣りの勝算”も出てきたのは、右腕・中根佑二投手(東北福祉大)だ。地元・楽天も熱視線を送っているが、中根仁・打撃コーチの親戚だという。震災による影響で練習に集中できず、4年生になってから少し評価を落としており、「様子を見ましょう」と、一歩引いた言い方をする球団も出始めた。
また、沖山勇介投手(日本製紙石巻)も1位候補だろう。昨年、2位で加賀美希昇投手(法政大)を指名したように、横浜は“地元意識”の強い球団でもある。沖山投手は神奈川県・桐蔭学園から中央大学を経て、社会人に進んだ。今季は先発だが、昨年は主にリリーフで活躍。「150キロ強の直球と軌道の大きいカーブが武器」だという。昨年、大石達也(西武)の抽選に外れた後、須田幸太を1位選出したのは「ストレートの威力」に惚れ込んだからだという。『直球』が1つの評価材料ならば、沖山投手は間違いなく上位校補である。
地元優先といえば、神奈川県の企業チーム・JX-ENEOSの左腕・大城基志(23)もいる。JX-ENEOSは5月、阪神二軍とのプロアマ交流戦に挑み、当然、阪神スカウトが視察していたが、上位で野手を指名する可能性が高いことを正直に吐露し、大城投手に対してはあまり多くを語ろうとしなかった。阪神も同じ左腕不足の悩みを抱えているが、もたついているような横浜が「欲しい!」とハッキリ表明し、大城投手のハートを掴んでしまうかもしれない。同社には同じく、左の倉又啓輔(24)もいる。両左腕の指名もあり得る。
中央では無名だが、茅ヶ崎西浜高の古村徹投手の動向も注目されている。強豪私立を相手に力投し、今夏の神奈川大会では史上初となる逆転サヨナラ満塁本塁打を放つなど、闘争心溢れる野球スタイルには一目置かれている。まして、左腕投手である。横浜商大との交流戦を調整しているとも聞いた。同大学の松延卓弥外野手か、畑中翔捕手の視察も念頭にあるのではないだろうか。神奈川大学の足立祐一捕手も強肩だと聞く。高校生もリスト入りされるはずだが、今年も即戦力重視の指名となりそうだ。(スポーツライター・飯山満)