二流私大生の津村浩介(中村雅俊)は、バスケットボール部のキャプテンでエースであったが、その日が楽しければよいという楽天タイプ。就職活動はほとんどせず、アルバイト中心の気楽な毎日を過ごしていた。すぐカーッとなる事から同級生のオメダ(田中健)や一流大学を出た同郷の先輩グズ六(秋野太作)から“カースケ”と呼ばれる。そんなカースケに好意を抱く部のマネージャー洋子(金沢碧)は、なにかと心配するが…。
大学卒業と同時にカースケはオメダと「東名不動産」という会社に入社。しかしそこは、「一度つかんだ仕事は死んでも離すな!」みたいな社則を毎朝屋上で声を張り上げ暗唱するような、今でいうガツガツ系の不動産会社。あまりにブラックっぽいので二人は1日で辞めちゃうのだけれど、この社則が大手広告会社の「鬼十則」にそっくりっていうのは有名な話。卒業とほぼ同時に無職になったカースケたちは、やはり、就職先の教育関係の会社がブラックで倒産してしまった先輩のグズ六と、3浪して東大をあきらめた友人・ワカメ(森川正太)と共に“なんでも屋”「なんとかする会」を立ち上げ、自由で独立した生活を夢みながら奔走するが…。
結構行き当たりばったりな毎日を生きるカースケたち。ざっくり言えば35年前のフリーターがいろいろあって大人へと成長していくお話なんだけど、途中で女の子と恋したり、友達に裏切られたり、親とうまくいかなかったりと、激しく人とぶつかり合いながら必死にリア充しているところ。
今は亡き名古屋章さん演じる「食堂いろは」の主人・坂田大五郎とか、グズ六の会社“世界教育販売”がつぶれて焼き鳥屋を始める元営業部長の谷(穂積隆信)など、本当の意味で味のあるキャストが脇を固め、最初はカースケが“大嫌い”で後に好きになるワカメの従姉妹・玲子(檀ふみ)や、オメダの妹でかわいい女子高生の真弓(岡田奈々)、画家の卵のボインちゃん(桃井かおり)など、彼らの恋愛を彩る女性キャストも華やか。それにしてもロングヘアにデニム上下で70年代を代表するようなスタイルのカースケ演じる中村雅俊と、アイビー風の田中健は当時の人としてもモデル並みに手足が長くて高身長。12年ほど前に『新・俺たちの旅 Ver.1999』としてV6の森田(カースケ)、三宅(オメダ)、岡田(グズ六)でこのドラマをリメイクしたけど、彼らが小柄なせいか何かすごくチマチマして見えたわ。
誰もかれもが会社に就職し、一生そこに勤める覚悟が当たり前だった時代にあえてフリーターを選ぶカースケたちは今以上に落ちこぼれで異端。だけど、友情に恋に輝かしい青春があった。今、やりたい事が無くってもやもやしている若い人はとても参考になる生き方かもしれないわ。(チャッピー)