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桜花賞 ライバルは早くも白旗? ウオッカ断然ムード

 いよいよクラシック第1弾「第67回桜花賞」(GI 阪神芝1600m 8日)まで3日と迫った。百花繚乱の例年に対し、今年は“3強”対決の様相が色濃いが、その扇の要がウオッカであることに、異論を挟む者はまずいないだろう。栗東キャップ・谷やんが桜の女王最有力候補に迫る。
 「最高のタイミングで抜け出してセーフティーリード。もう完全に勝利を確信したのに、まさか差されるなんて夢にも思わなかったよ」
 フィリーズレビューを圧勝しながら、今もなお阪神JFの悪夢にうなされているのはアストンマーチャンを担当する上田助手。
 一方、「例年のレベルならこれでも勝てるんだが、前回と同じでは今回もかなわない。時計1秒縮めようとすると馬が壊れてしまうから、時計半分(0秒5)縮めるように調教をこなしているが、あんなに強い(タニノ)ギムレット産駒がウチから出なかったのは困ったものだよ」とは、TR・チューリップ賞で能力の絶対値の違いを認めざるを得ない大きな大きなクビ差に愛馬ダイワスカーレットが敗れた松田国師だ。
 そのプライド高き松田国師が、「ワラ人形に5本釘を打っても…」とブラックジョークを飛ばすほど、すでにウオッカは難攻不落の牙城を築き上げている。
 管理する角居師といえば、シーザリオでアメリカンオークスを制覇、メルボルンCではデルタブルース(1着)が120年の歴史を変える(オセアニア地区以外の調教馬で初優勝)など、いまや世界的ホースマンの一人に数えられる。その名トレーナーをして、「歴史的牝馬になれる」と豪語するウオッカ。「ぜひ、競馬場まで来て応援してやってください」とPRするほど絶対の自信をもっている。
 もちろん、本番へ向けての仕上がりも抜かりはない。村山助手は、「負けても不思議じゃなかった」良化途上のエルフィンSや、「あくまで本番を見据えた仕上げ」だったチューリップ賞当時とはデキは一変しているという。
 「とにかく、柔らかくて本当にバネがある。トモの蹴り出しなんかはギムレットそっくり。エルフィンSが1回余分かなと心配していたが、落ち着きもあって、馬体も男馬並みの迫力」。そう胸を躍らすように、「心」「技」「体」のすべてにおいて充実。4・8桜花賞に向け、刻一刻と臨界点に迫る勢いだ。
 そして、ウオッカがここまで強くなるに至った過程の中で、忘れてならないのが主戦・四位騎手の存在だ。ともすれば有り余る天賦のスピードを制御し切れず、暴走娘と化す可能性を危惧させたデビュー戦の勝ち方に不安を覚えた四位騎手は即座に策を講じた。2戦目の黄菊賞では目先の1勝にはこだわらず、「行かせていれば勝っていたと思うが、先々のため、あえて我慢を覚えさせた」。その価値ある唯一の敗戦が、TR・チューリップ賞で上がり3F33秒9という自身最速の末脚を繰り出させた。
 「ホント、馬は100%になっているし、現時点での比較ではシーザリオより上。桜花賞は繁殖牝馬になった時の価値を高めるレースだし、名牝になる第一関門。JpnI(新表記=本紙ではGI表記)の一番手になれると思っています。残り4日間を失敗しないようにしたい」と世界の角居師をうならせれば、“競馬に絶対はない”の格言も存在しまい。まことしやかに噂されるダービー挑戦。純度100%のウオッカが桜吹雪の中、万人を心酔させれば、世代の頂点への挑戦も現実のものとなるに違いない。

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