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『投高打低の統一球』導入2年目で問われるバントと2番バッターの定理

 低反発の統一球が導入されて2年目の今季、どのチームも『得点能力のアップ』をはかるため、犠打の重要性を訴えていた。ペナントレースが開幕してまだ3カードを終えた時点だが、『犠打=バント』に対する解釈が両極端に別れたようである。

 セ・リーグは「1位・広島、2位・東京ヤクルト、3位・中日、4位・横浜DeNA、6位が巨人と阪神」。パ・リーグは「1位・東北楽天、2位・北海道日本ハム、3位・千葉ロッテ、4位・埼玉西武、5位・福岡ソフトバンク、6位・オリックス」。4月8日時点での『犠打の多さ』の順位だ。ペナントレースの順位とは異なるが、バントと言えば、「2番バッターの専売特許」とも目されている。バントと2番バッターについて考えてみたい。
 2番バッターが「チームトップのバント数」を決めているのは、千葉ロッテ(根元俊一=4犠打)、中日(大島洋平=5犠打)、広島(梵英心=4犠打)。北海道日本ハム(小谷野栄一=3犠打)の4チーム。根元と大島はリーグトップである。
 広島は昨季、チーム全体で180犠打をマークした。今季も12球団トップの14犠打を決めており、1番バッターを務めることの多い東出輝裕も3犠打をマーク。チーム打率1割9分7厘(リーグ5位)でもペナントレースの首位に躍り出たのは、「走者を確実に進める」という意識によるものだろう。

 また、東京ヤクルトの2番バッター・田中浩康は「犠打2」だが、6番の宮本慎也が「4犠打」を決めている。チーム全体でも「10犠打」を記録しており、広島同様、「チーム全体で…」の戦い方が浸透している。
 パ・リーグの北海道日本ハムもリーグ2位の「10犠打」を決めている。栗山英樹監督は4番も務めた稲葉篤紀を「2番」に置く攻撃的打順の構想も明かしていた。現在は小谷野栄一を2番に置いているが、彼も本来ならば、クリーンアップに入るべき強打者だ。しかし、小谷野は「右方向へのバッティング」もできる。昨季、112本の安打のうち、32パーセントが右方向に放ったもので、「ヒットエンドラン」などの作戦も秘めた「2番転向」と思われる。その小谷野はチームトップの「3犠打」をマーク。栗山ファイターズは『攻撃的2番』の構想を掲げつつも、「バント」という小技を織りまぜていることが、数字に表れていた。

 対照的なのが、巨人、オリックス、西武だ。巨人の2番打者・ポウカーは「犠打ゼロ」。オリックスの2番・大引啓次と栗山巧は「1」。チーム全体でも、巨人の犠打数は「5」、オリックスは「3」。ともにリーグワーストだ。西武は小技と機動力がお家芸のチームではあるが、チーム打率は1割9分2厘(12球団ワースト)で、出塁率も2割5分9厘しかない(12球団中11位)。“走者を出せない”打線の不振が悪循環に繋がっているようだ。巨人、オリックスがスタートダッシュに失敗したのは、「進塁の意識」も影響しているのではないだろうか。
 星野楽天はパ・リーグトップの「12犠打」をマーク。高木中日は「9犠打」。福岡ソフトバンクは、僅か「4犠打」。和田阪神は昨秋キャンプから「バントゲーム」を練習に取り入れるなどし、「打つだけの攻撃スタイル」からの脱却をはかっている。現時点で「犠打5」しか決めていないが、巨人戦でスクイズをみせたように、試合の要所で使っていくということだろうか。

 したがって、バントを使って好スタートを切ったのは、千葉ロッテ、北海道日本ハム、広島、中日、東京ヤクルト。バントを使いつつも、開幕ダッシュに失敗したのが東北楽天。バントを使わないで首位戦線に絡んできたのが福岡ソフトバンクということになる。
 低反発の統一球が導入されて2年目、Aクラスのチームは例外なく、投手陣が好調だ。「野球はピッチャー次第」と言えばそれまでだが、「少ない好機をいかに得点に繋げるか」は重要なテーマではある。ただ、巨人、オリックスは選手層が厚い。両チームが巻き返してきたら、2番バッターの定理も変わるかもしれない。(スポーツライター・美山和也)

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