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次クル芸人 〜新時代に輝くホープたち〜 (Vol56 だーりんず)

 この2人、誰!? 『キングオブコント2016』(KOC)の決勝戦進出ラインナップを見た者の大半は、こう思ったに違いない。正体不明のダークホース。ともにアラフォー。デビューから16年間はずっと、泥水をすすってきた。しかし、笑いの神様はオモロイ彼らを見捨てなかった。だーりんず、反撃のときがついにやってきた。(伊藤雅奈子)

 −−2人が組んだきっかけは?

 小田「ソニーって事務所で、別々のコンビだったんですけど、お互いに6年ぐらい前に解散して、ピン芸人になったんですね。今もなんですけど、バイトも同じところで、“じゃあ、一念発起で組んでネタを作ってみるか”と」

 松本「僕がバツ6(※6回解散を経験している)で…」

 小田「僕がバツ4。2人あわせてバツ10(笑)。今回も“次は絶対売れるぞ!”というのはなかったんですけど、組んで4年目のときの“キングオブコント”で、初めて準決勝まで行けたんですよ。僕もこいつも、準決勝っていうのがコンテストの最高位で。そこで、まだ(売れる)可能性があるのかなぁって、明確に思いました」

 松本「そこもなんですけど、その次の年(15年)もまた準決勝まで進めたので、2年連続は奇跡じゃないぞと」

 −−そして今年は、念願の決勝戦初進出。名前を呼ばれた瞬間、どんな気持ちでしたか?

 小田「生きてきて、いっちばんうれしかったっすねぇ」

 松本「芸人がすっごい喜んでくれてね」

 小田「マネージャーからあとで聞いたら、僕らの名前を呼ばれたときはいちばん芸人から“オ〜!”って歓声があがって、いちばん客席がシーンとしてたって(笑)。決勝まであとちょっとですけど、僕は落ち着いてますよ。この1年をかけて、自信のあるネタにしてきたので、あたふたすることもなく。今はただ、体調管理には絶対に気をつけようと、それだけ思ってます」

 松本「ネタを繰って、隠して、手を替えてきた1年間なので、それをテレビでやれると思うと、ワクワクしてきますね。無名なんで、その気楽さもありますし、どっちがボケで、どっちがツッコミで、どんな声をしてるのか、それすらバレてないわけですから。中学生のときから大好きなダウンタウンさんの前で、初めてネタをできるんですもんね」

 小田「すごいことだよぉ(シミジミ)。全国区の番組、生放送に出るのは初めてなんですけど、そこでダウンタウンさんって、ねぇ」

 −−これは公表していることですが、松本さんはカツラで…。

 松本「ウィッグですね」

 小田「いいように言うなっ(笑)」

 松本「これをはじめたのは、1年前。伊集院光さんのBSの番組でネタを見せたんですけど、終わった瞬間、『ハゲたねぇ(笑)。気になってコントが入ってこないよ』って言われて。で、『俺が毛をおごってやる。だから気にせず、“キングオブコント”までがんばれ』って、1年間限定で今、続いてるんです。基本2個でまわしていて、月に2回のメンテナンス、シャンプー代とかの値段は知らないんですけど、すべて伊集院さんが払ってる。メンテナンスもね、意外と予約が取れないんですよね。カツラ人口が多いのか、技術者が少ないのかは、知らないですけど」

 小田「これ、なんの取材? まぁ、伊集院さんのなかでは、“キングオブコント”で優勝して、これからは自腹でやれよという、それがゴールみたいですけど」

 松本「2位以下は、ゴールじゃない。だからこそ、負けたときのことは考えないようにしてます、今は」

 −−いろんなことが賭けられた決勝戦なんですね。

 小田「今は取れないタイプのカツラで、ピチッと貼りつけてるので、優勝するなり、メシを食えるようになったら、取れるタイプに変えてほしいです、自腹で。そしたら、コントでも広がるんで」

 松本「いっそ外して、東急ハンズで売ってるものにする?」

 小田「おもろくなるなら、それでもいいけど。でも、最初から宣言してるカツラキャラって、この芸能界ではまだいないんで、ひょっとしたら空きはあるんじゃないかなって思ってるんですけど」

【プロフィール】松本りんす(左) '77年11月生まれ、兵庫県出身。小田祐一郎 '77年3月生まれ、鹿児島県出身。2011年コンビ結成。ソニーミュージックアーティスツ所属

(次回は16年10月最終週に更新)

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