「今まで書き留めておいたのを一冊にまとめた書き下ろしで、いかにして私は失敗を重ねてきたか…という内容。よく電撃は海外で成功したって言われるけど、成功なんて一度もない、失敗ばかり。でも、ここが肝心。失敗することの大切さを力説しているわけです」
欧米では「TOKYO SHOCK BOYS」の名で知られ、日本のパフォーマーの中でも知名度は抜群に高い。なのに、成功していないとは?
「確かに世界中で公演してるけど、スタンディング・オベーションを一度も受けたことがない。ニューヨークのMSGで黒人のイベントに出演したとき、客席からカンやらビンやら投げられてさ。でもね、その客たちが終わったら“悪かったな、応援するゼ”って言ってくれて。向こうじゃブーイングがあいさつだって気付いたんだ。後々そういう痛みが糧(かて)になっていくわけ。ワザと失敗しようとは思っちゃいないけど、失敗を重ねることでしか世界には出て行けないんだよ」
これまで決して語られることのなかったダチョウ倶楽部との関係も少しだけ明かしている。
「ダチョウとのことはカッコ悪いから誰にも言わなかった。でもクビになった後で一回だけ、たけしさんの『スーパージョッキー』の熱湯CMで共演する機会があって。ところがオレが湯船に入ったとき、3人の誰かにヒシャクで熱湯を背中にかけられてさ。真っ赤に腫れ上がって後の競馬場での営業ができなかったほど。普通なら殴り合いだけど、テレビカメラの前だったから自分の胸に収めたんだ。誰が熱湯をかけたのか、もちろんオレは知ってるけどね」
本書の売り上げの一部はシドニー五輪マラソンの銀メダリスト、エリック・ワイナイナが主催する基金に寄付される。
「『アフリカの子供に歯ブラシを贈る運動』に寄付するんですよ。オレが死んでもアフリカに歯ブラシは残るってね。でも別におごっているわけじゃない。むしろ寄付するなら儲かってなくてもしろよって言いたいな」