右側には煙突のついた小さな納屋のようなものが存在しているのだが、木で出来た壁と小さな扉に、奇妙な人影が浮かび上がっているのだ。鮮明に見えているのは首と上半身だが、上等なスーツを着込んで山高帽を被っている長身の男性。だが、その顔は異様に白く、まるでガイコツのようにも見える。そして、子を抱きかかえる母親の方をにらみつけているのだ。ちょうど扉の上部に首が出ているため、よりその姿の異質さが解る姿となっている。
果たして、この写真に写ってしまった人物は何者なのか。
この写真は1930年代にアメリカで撮影されたものだという。撮影者とその家族は、写真を非常に気味悪がり、かといって下手に捨てることも出来ず、アルバムから外して仕舞い込んでいたのだそうだ。それが後年発見されて注目を集めたのである。なお、撮影時にはこの場に人はいなかったとされている。
一説には、この写真は二重露光でネガに残っていた男性の姿が背景に写り込んでしまったのではないかとされている。しかし、後にこの家を建て替えようとした時、基礎の地下から人間の骨が出てきたという証言も存在している。
この写真に写ってしまったものは、その死体の主だったのだろうか。
文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所