夏の上がり馬はオウケンブルースリだけではない。阪神で1000万特別を勝った後、トライアルをスキップ。ジッと本番を見据えていたスマートギアが、満を持して菊の舞台に挑む。
「神戸新聞杯を使わずに菊花賞一本に絞ってやってきた」と猿橋助手。前走の野分特別は444キロでマイナス12キロ。猛暑のなか、馬体はギリギリに映った。賞金的には菊花賞出走が微妙な状況だったものの、陣営は馬の状態を最優先させた。
結果的に正解だった。「間隔があった分、しっかり攻め馬を積めたし、デキはすごくいい。以前は腰に気になるところがあったんだけど、今はその心配がなくなった」と本格化を感じ取っている。
腰に力がついて急激に良くなるのは晩成型マーベラスサンデー産駒の特徴。半兄のワンモアチャッターも5歳で初めて重賞を勝ったように、父母から奥手の血を受け継いでいる。
いかにも菊にピッタリの配合。期待値の大きさを猿橋助手はこう表現した。「ウチにいたヒシミラクルも野分特別を勝って菊花賞に挑戦したんだよ。前走は以前より前につけて差し切ったようにレースぶりも良くなっている」。2002年に奇跡の菊花賞Vを演じた名馬を引き合いに出し、静かにほほ笑んだその表情からは自信が見え隠れする。
しかも、鞍上は菊花賞男の武豊騎手だ。3勝2着1回と相性抜群のコンビが波乱を呼ぶ。
【最終追いVTR】前半からスピード感あふれる走りで、ゴール前ではビッシリと追われた。鞍上に気合をつけられると、最後はシャープに伸びてフィニッシュ。体調は文句なしだ。