全成績(2)(2)(1)(7)(4)(3)(3)(3)(3)(1)(3)着が示すように、安定感は間違いなく世代トップクラス。ただ、一頭になると力を抜く悪癖があり、勝っておかしくないレースをいくつも落としてきた。
とくに前走・青葉賞(3着)がその典型だ。直線半ばでいったん、先頭に立つまでは完ぺきだった。しかし、一頭になった途端、右にフラリ、左にフラリ。手応えは勝ち馬アプレザンレーヴを上回っていただけに、もどかしさだけが残るレースだった。
この集中力のなさでは到底、ダービーで◎には推せないと思っていたが、この中間、陣営は対策を講じてきた。ノーマルハミから制御力が強いDハミにチェンジ。これが効果てきめんだったと中川助手はいう。
「何度も同じ競馬が続いとるからな。急にハミを替えて馬が戸惑わないか心配してたんやけど、先週の追い切りでハミをグッと受けてくれた。こちらの想像以上にうまくいった」
さらに、8キロ減だった前回の反省を生かし、今回の直前は「機嫌を損ねないように」(同助手)終いサラッとのソフト調教に変更。これもハミ同様、絶大な効果を与えている。中川助手は「前回は負荷をかけすぎたが、この中間はメリハリを利かせたいい調教ができた。これで対策はバッチリや」と満面の笑みだ。
ここに向けて徐々に距離を延ばしてきたことも好感。くみしやすいプリンシパルSではなく、あえて強敵が集まった青葉賞を使ったことも結果的には大正解。本番と同条件での競馬は絶好の予行演習となった。
「これだけ使っているのに、一戦ごとに状態がまだアップしている。こんな馬は今まで見たことがない。しかも、いつも絶対3着まで持ってくるんやからな。最後までまじめに走れば、ウチの馬が一番強い」。中川助手のこの言葉を素直に信じ、一世一代のアップセットに熱き一票だ。