「球団は苦情の寄せられた時点で、内々に調査をし、地元県警とともにオークションで主催ゲームチケットが転売されている事実関係を完全に掴んでいました」(球界関係者)
西武ドームの最寄り駅・所沢球場前では、至る所に「ダフ行為の禁止」を訴える注意書きが出ている。試合中も電光掲示板で「ダフ屋からチケットを買うことも条例違反」だと訴えてきた。他球団も、同様である。
西武球団がファンクラブ会員を対象とした本拠地ゲーム・チケット(3月20日〜4月29日)の先行販売を開始したのは、2月10日(抽選式/発表12日)。一般販売よりも1週間以上も早い。県警はまだ詳細を発表していないが、被疑者はこうしたファンクラブ会員の特典を“悪利用”したものと思われる。
他球団職員もこう続ける。
「一部の心ないファンが、(菊池)雄星クンを撮影した写真を勝手に転売されている話も聞いていますよ。中日サンもキャンプ地(沖縄県北谷町)の選手更衣室となる建物に鉄柵を設けたんです。昨年、選手のグラブなどが盗まれたんです。こちらもオークションで不当に転売された可能性があります。他球団でも、ファンクラブ会員にプレゼントしたレプリカユニフォームをネットオークションで転売される事実が報告されており、ファンクラブ会員のサービス特典を続けるべきか否か、議論がされています」
オークションが悪いのではない。ファンにすれば、プロ野球選手が使用した野球用具は“お宝”ではあるが、一方でネットオークションを悪用する者も増えつつあるようだ。
西武球団がダフ行為者の被疑者が逮捕されたことを緊急告知した理由は、菊池雄星(18=登録名「雄星」)に尽きる。
「パ・リーグは予告先発制です。雄星が登板する試合はファンが大挙してくるのは必至です。雄星が先発登板する試合のチケットが転売されたら、価格は2倍、3倍に跳ね上がるでしょう。その防止であり、警告ですよ」(前出・関係者)
とはいえ、肝心の雄星は一軍復帰のメドすら立っていない。「オールスター前後の変則日程か、交流戦で日程が詰まっているときに登板させるかもしれない」との見方もあるが、それは『勉強』に過ぎない。チケットの希少価値が高まるのは、勝っても負けても、プロ初登板ということになるだろうが、広島・今村猛、中日・岡田俊哉、横浜・筒香嘉智、ソフトバンク・今宮健太など、同じ高卒ルーキーのライバルたちは日増しにその評価を挙げている。
「のちに一流と呼ばれる選手は1年目から勝負しています。スーパースターと呼ばれた選手の圧倒的多数は新人、2年目から活躍しています」(前出・同)
西武は中村剛也、銀仁朗、工藤公康、グラマンなど主軸選手が相次いで故障。雄星を使わざるを得ない日も来るかもしれない。ダフ行為は許されないが、2倍強の代金を払ってでも観たいというファンの期待に、奮起してもらいたいものである。