1番人気に支持されたダークシャドウは得意の東京より最後の直線が短いことを意識してか、スタート早々から2・3番手の位置取り。このレースのためにわざわざアメリカから一時帰国した福永騎手。天皇賞に向けた前哨戦といえど、勝ちに行く姿勢を早くも見せる。このまま最後の直線で突き抜けるか。そんなシーンも浮かんだが、後方から予期していなかった別のドラマが動き始めていた。フミノイマージンと太宰騎手のコンビだ。3コーナー手前から怒濤の捲りを見せ、4コーナーで先行勢を射程圏内に。
勝ちにこだわり、これまでになかった先団につける展開を選択した福永騎手、いつも通りに捲る展開を選択した太宰騎手。この選択が明暗を分けたかもしれない。軍配は太宰騎手に上がる。ダークシャドウが格好の目標になったこともあり、最後はフミノイマージンが突き抜けた。
このコンビが春の目標としていたのはヴィクトリアマイルだった。初のG1制覇に向け完璧に仕上げた状態での出走となったものの、手綱を取り続けていた太宰騎手は騎乗できなかったという背景がある。ヴィクトリアマイル、クイーンSと別の騎手が騎乗し2戦続けて不発。しかし、今回はそれまでの不振が嘘のような豪脚でこのレースを飾った。やはり最高のコンビなのだろう。イマージンと太宰騎手の絆、主戦騎手として執念を感じたレースだった。今後は府中牝馬Sからエリザベス女王杯へ向かうという。この秋こそ、このナイスコンビがG1制覇を成し遂げるかもしれない。
〈プロフィール〉近藤雄亮:キャリア3年目の若手放送作家。売れっ子作家ではないため安定した生活をするには競馬の成績がカギ。応援宜しくお願いします! Twitterで競馬ネタをつぶやいているのでチェックして頂けたら嬉しいです! アカウントは「@minoru1202」