「まさか10万人を突破するとは思いませんでしたね。映画に出てくるエイリアンなど空想上の生き物や噂から一歩抜け出て、科学的に迫っているのがポイントです。ホームページでエイリアンが存在するかどうかを尋ねるアンケートを実施しているんですが、約94%が信じているんです」(同展広報担当者)
エイリアン展のHPには「エイリアン(地球外生命)はいると思いますか?」という設問に投票するコーナーがあり、21日現在の総投票数1万1678票のうち実に94%が「いる」と答えている。本紙が展示を見終えた来場者をサンプル抽出して確認したところ、そのほとんどが地球外生命の存在を信じるようになっており、急速に“エイリアン信じる派”が勢力を伸ばしている。
昨年12月には民主党の山根隆治議員(60)がUFO(未確認飛行物体)についての質問主意書を提出し、「存在は確認していない」との政府見解を引き出した。その後、国会でにわかにUFO論争が活発になったことは記憶に新しい。テレビ番組でUFOや宇宙人の存在について肯定派と否定派に分けて論争させる企画があるが、いまは確実に肯定派に追い風が吹いている状況だ。
UFO研究家として知られる矢追純一氏も同展を訪れており、展示内容に満足げだったという。
同展では宇宙にアプローチする前に、地球上の過酷な環境下でひっそりと生きる不気味な生物を標本スタイルでみせる。深海や高温、氷点下、乾燥地帯などで環境にあわせて進化した生物のグロテスクな姿や、驚異の生態を、館内を巡回している学芸員が詳しく説明。宇宙の果ての想像を絶する環境で生きるエイリアンらの姿を連想させる。
深海魚コーナーは、少ないエサを取りこぼさないよう大きな口を開けたまま泳ぐゴックンウナギや、タコとイカに進化する手前の吸血イカなど気色悪さ満点。生き抜くために長い年月をかけ進化した姿が、映画や漫画などで見た宇宙人やエイリアンと似ているのには驚かされた。
前出の広報担当者は「あまりに科学的根拠に乏しかったため、科学者が地球外生命について話すことは長らくタブーとされてきました。それがここ数年、生物学や惑星科学の研究が進み、さまざまなことを言えるようになってきたんです。地球にでさえ人間を殺す濃度の約3000倍の放射能を浴びても生き続けるバクテリアがひっそりと生きていて、一方では太陽系にとどまらない天文学的な数の惑星が存在する。地球にだけしか生命が存在しないと言い切れるでしょうか」と話す。
科学者がエイリアンの生息を期待している星もあるという。エイリアンの存在を信じるか、信じないかはあなた次第…ということだろう。
○「エイリアン展 ―― モシモシ、応答ネガイマス。」
2005年にロンドンで「The Science of Aliens」の名称で公開されて以降、フランス、スペイン、アメリカなどを巡回しアジア地域では初開催となった。4つのゾーンに分けて学術的にアプローチするほか、映画「ET」「プレデター」に登場するエイリアンのフィギュア展示や背比べコーナーも。自分の顔を3種類のエイリアン映像にシンクロさせるマシンはリアルな“宇宙人顔”がウケて行列ができる人気だ。地球外生命が存在する架空の2つの星を紹介するゾーンでは、科学者が研究結果に基づいて考えた仮想生物が巨大スクリーンを動き回り、タッチパネルでこれらを操ることができる。宇宙からのシグナル受信方法や地球外文明との交信の試み方まであますことなく網羅している。
会期中は1日2回、テーマを変えた実演あり。6月16日まで。
▽午前10時〜午後5時
▽毎週火曜休館
▽入場料は大人900円、18歳以下350円
▽日本科学未来館1階企画展示ゾーンb(東京都江東区青海2-41)