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ナイトワークのオンナたち・第10回・キャバ嬢と男性客の恋事情

 12年前のキャバ嬢で、現在はキャバ嬢研究家の菊池美佳子です。今回は、キャバ嬢さんの恋模様について。

 想いを寄せるキャバ嬢さんがなかなか振り向いてくれないと、「どうせ本命の彼氏がいて、俺のことは客としか思っていないんだろうなぁ」という気分になってしまうものですよね。その前に、キャバクラというものの楽しみ方についてですが、下心ナシで、楽しく飲むことをメインにするか、あわよくば男女の仲に発展することを期待するかで、通い方はだいぶ違ってきます。ここでは、後者のほう、男女の仲に発展することを意識したパターンに注目してみましょう。

 「お客さんは恋愛対象外」と決めていたとしても、キャバ嬢さんとて血の通った人間です。目の前のお客様が魅力的だと、恋に落ちることがあります。実際に、お客様と付き合っているというキャバ嬢さんはけっこう多いものです。もちろん、大っぴらに吹聴しているわけではないですが。

 「みなみ」というキャバ嬢さんがいました。特別美人というわけではないのですが、某女子アナに顔立ちが似ているということがセールスポイントになっているのか、彼女は常にナンバーワンに君臨していました。余談ですが、有名人に似ているというのは、キャバ嬢という仕事では非常に有効です。「○○に似ているね」という、会話を弾ませるというきっかけになりますから。尚、彼女がナンバーワンだったのは、有名人に似ているというセールスポイントだけでなく、同伴やアフターなど、営業面の努力も怠っていませんでした。

 そんな時、みなみに彼氏が出来ました。何度か通ってくれている若い男性客です。付き合い始めというものは、しょっちゅう会いたいもの。みなみは、他のお客様との同伴やアフターを減らし、そのぶん彼氏とのデートを優先させるようになりました。また、店でお客様に接する際も、「恋仲への発展を匂わせるような素振り」を控え、楽しく飲むという雰囲気での接客スタイルに変わっていきました。本人も、そのことを自覚していて、「お客さんへのメールに、ハートマークを使わなくなった」とのこと。みなみの変化は、成績にも如実に表れ、更衣室に貼られている成績グラフは下降する一方、ついにはナンバーワンの座を、他のキャバ嬢に明け渡すことになりました。

 みなみがナンバーワンの座を退いた頃、時を同じくして、彼氏から「キャバクラの仕事を辞めてほしい」と求められます。キャバ嬢をカノジョに持つ男性には2タイプあるようで、「他の男性に接するのは、仕事なのだから、不快に思うことはない」という割り切り型と、もう一方がみなみの彼氏のようなタイプ。そして、キャバ嬢側にも2タイプあります。彼氏のために職を辞す者と、そうでない者。みなみは、意外にも後者のタイプでした。キャバ嬢を続けるために、彼氏と別れることを決意します。

 彼氏と別れてからの彼女は、以前のように営業にも積極さを取り戻し、徐々に成績を上げていきました。ナンバーワンに返り咲く日も、そう遠くはないでしょう。

 それにしても、キャバ嬢をカノジョにするということは、付き合うまでよりも、付き合ってからのほうが難しいのかもしれませんね。他の男性と接するという仕事を、割り切って見守ることが出来なさそうなら、キャバ嬢への本気のアプローチは思いとどまったほうが無難なのかもしれません。むろん、恋のために職を辞すというタイプのキャバ嬢も存在します。さて、貴方が想いを寄せるキャバ嬢さんはどっちのタイプでしょうか? (キャバクラ研究家:菊池美佳子)

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