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矢野阪神ピンチ! チーム最大功労者・鳥谷が二軍降格へ

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 交流戦は負け越したが、リーグ順位は「貯金1の3位」。首位巨人とのゲーム差は3・5。まだ早いが、矢野阪神は“優勝圏内”での戦いを続けている。この「勝ちにこだわっていかなければならない状況」が、チーム功労者の去就にも影響を与えそうだ。

 35試合に出場して、54打数7安打、打率1割3分。球団史上最多安打数を誇るベテラン・鳥谷敬の今の成績である。その鳥谷が6月26日、38歳の誕生日を本拠地・甲子園球場で迎えた。同29日からのペナントレース再開に向けての練習が行われていたのだが、ハッピーバースデーとはならなかったようだ。

「近く、矢野燿大監督(50)と話し合うことになると思います」(在阪記者)

 自身の去就に関して、だ。関西圏で活躍するプロ野球解説者が一部メディアで「二軍調整も…」と今後を心配するコメントを発したが、まさにその通りなのだ。

 矢野監督は「目に見えないものでチームを支えている」と各メディアにコメントしていたが、気になる点もないわけではない。

 まず、代打・鳥谷の使い方だ。ここまで、鳥谷の代打起用は29回。うち、走者を置いた場面で24回。さらに突き詰めれば、得点圏に走者を置いた場面で22回、打席に送り込んでいる。しかし、驚くべき数字が残されている。73試合を消化した現時点で、鳥谷は「打点ゼロ、本塁打ゼロ」。球団史上最多の安打数を誇るベテランが、である。

 30代前半で引退したプロ野球解説者は「得点チャンスで起用してもらえるのは、期待されている証拠。それが鳥谷のモチベーションを維持させている」と矢野采配を分析していた。

 しかし、こうも考えられる。得点チャンスとは、相手チームにとってはピンチであって、失点を防ぐため、好投手がリリーバーに送られる場面でもある。相手首脳陣が信頼を置くピッチャーが投げている場面なので、波に乗る一流バッターでも、ヒットが出にくい。改めて、阪神のスコアブックを見てみたが、鳥谷は5月31日の二塁打以降、ヒットが出ていなかった。

 試合前の練習でも、気になる光景が見られた。鳥谷が一塁での守備練習に入っていたのだ。今季は慣れ親しんだショートのポジションに帰り、そこで勝負すると矢野監督と話し合って決めたはず。試合に出る機会が増えるのならばともかく、上本も一塁での守備練習を始めており、すでに二軍戦でもテスト出場を果たしている。見間違いでなければ、一塁守備練習に入ったときに鳥谷がはめていたグローブは、彼が契約しているメーカーのものだった。ということは、「一塁転向」は矢野監督とも話し合いが済んでおり、準備も進められていたということか…。

 「鳥谷を復活させるために必要なものは、実戦感覚です。実戦感覚を取り戻すには、まず守備に着かなければなりません。矢野監督はショートを守る木浪がどんなにミスを重ねても使い続けています。『正遊撃手』として育てていくつもりなんだと思います。鳥谷の一塁にしても、ほかに選手がいるので…。二軍戦で実戦感覚を取り戻すことも検討しなければなりません」(前出・関係者)

 二軍調整が本当に鳥谷のためになるのかどうか、分からない。二軍降格という残酷な響きが、張りつめていた気持ちをプツンと切ってしまうことも考えられる。今季は、鳥谷にとって、5年契約の最終年でもあるが、チームが優勝圏内に踏みとどまれば、「テスト」「調整」での出場機会は今以上に与えられなくなる。代打成績も良くないので、今後好機では、鳥谷ではなく、原口が告げられる場面も出てくるだろう。元気な鳥谷が見たいと思っているファンは多いのだが…。(スポーツライター・飯山満)

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