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阪神“平成の負の遺産”を矢野監督は払拭できるか? カギとなるのはドラフトと…

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藤浪晋太郎

 改元による特集企画が各業界で行われている。プロ野球セ・リーグの平成時代を振り返ってみると、改めて分かったことがある。「強いチーム」を作るには長い歳月が必要だ。

巨人 2263勝1839敗80分け
中日 2104勝1996敗86分け
ヤクルト 2049勝2969敗81分け
広島 2026勝2077敗85分け
阪神 1978勝2132敗78分け
DeNA 1838勝2274敗76分け

 これは、平成の通算成績である。勝利数トップの巨人が12回のリーグ優勝を果たしており、ヤクルト6回、中日5回、広島4回、阪神2回、DeNAは1回。これだけだと、「勝利数=優勝」という単純なデータだが、セ・パ両リーグの個人打撃成績を重ねてみると、意外な結果が出た。

安打 金本(2539)石井琢(2432)立浪(2405)
本塁打 金本(476)ローズ(464)清原(434)
打点 金本(1521)中村紀(1348)小久保(1304)
盗塁 赤星(381)荒木(378)松井稼(363)

 途中で移籍した選手もいるため、選手の稼いだ数字が最終在籍チームに貢献したことにはならないが、安打、本塁打、打点、盗塁のトップは“阪神選手”だ。「なぜ、阪神は勝てないのか」「2回しか優勝できなかったのか」と思ってしまう。だが、近年のプロ野球界で、重要視されている中継ぎ投手の「ホールドポイント(=HP)」と「ホールド」について見てみると、ひとつの仮説に辿り着くことができる。

1 宮西尚生338HP/305ホールド
2 山口鉄也324HP/273ホールド
3 浅尾拓也232HP/200ホールド
4 マシソン191HP/166ホールド
4 藤川球児191HP/140ホールド
6 五十嵐亮太187HP/159ホールド
7 青山浩二180HP/147ホールド
8 平野佳寿169HP/139ホールド
9 高橋聡文167HP/141ホールド
10 増井浩俊166HP/140ホールド

 セットアッパー10傑の中に、阪神投手は2人。9位・高橋は16年から移籍した投手で、阪神では挙げたホールド数は42。ホールド数の大半はプロ野球人生をスタートさせた中日で稼いだものとなる。これに対し、平成で12回のリーグ優勝を誇る巨人は山口鉄也を育て、そこに助っ人のマシソンを加えるリリーフ陣を編成してきた。

 かつて、阪神にも「JFK」という鉄壁のリリーフトリオがいた。彼らが奮闘した時代にリーグ優勝もしているが、3投手の中で今も現役なのは藤川だけで、それに代わる生え抜きのセットアッパーが育っていない。

 チームの中心は「4番、エース、クローザー」であり、投手継投策が完全に定着した近年、強いセットアッパーも重要どころとされている。しかし、阪神はこのチームの中核を外国人選手や途中加入の選手に託すシーズンが多かった。平成の本塁打、打点、安打の3部門トップである元主砲・金本知憲も、途中加入だ。

 令和元年の今シーズンも、エースがメッセンジャーで、クローザーがドリスだ。エース候補だった藤浪晋太郎はドロ沼の大スランプを抜け出せていない。矢野燿大監督が我慢しながら、大山悠輔を4番で使い続けているのは、数年後を見越してのことだろう。

 チームの中核を生え抜き選手で固めたチームは強い。阪神にとって、平成はドラフトと育成の両方で失敗した時代とも言えそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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