「亡くなった中村勝広GMは14〜15年オフの補強に失敗しましたが、本社役員ともきちんと話のできる紳士でした。補強をすれば、当然お金が掛かる。その大金を投じる意義、チーム事情、チームが勝つことによるグループ企業の相乗効果もきちんと説明し、チーム戦力を見極めようと懸命に努力されていた」(球界関係者)
故・中村氏は南信男球団社長(60)の要請でゼネラルマネージャー職に着任した。日本のプロ野球チームもゼネラルマネージャー制がようやく定着し、GM職を設けない球団も『編成本部長』『シニアディレクター』などの肩書でその職種に当たらせている。どちらかといえば、阪神はメジャーリーグ式のこうした組織作りでは、遅れていたほうだった。
和田監督の退陣が本当ならば、ファンにとってもっとも関心が高いのは次期監督人事だ。しかし、誰が監督になっても、それを支えるフロントトップの責任は重大だ。当面は編成部長の高野栄一氏に託されるようだが、「中村サンの後任を決めなければ」の声もチーム内部から聞こえてくる。
「これからドラフト会議があるので、高野部長はたいへんだと思います。阪神はGMと編成部長の両方がおり、端から見れば、『最終的判断はどちらがするんだ?』という疑問も生じます。でも、その体制で上手くいってたんですよね、阪神の場合は。現場出身(元選手)と背広組(本社より異動など)の両トップが話し合うスタイルなんでしょう」(前出・同)
高野本部長の“ワントップ体制”は「ドラフト会議まで」だという。その後、トレードなどオフシーズンの補強が始まる前に新GMが選出されるとの見方が支配的だ。
「故・中村氏のように本社役員と話ができるタイプを探すとなれば、新GMの選出は難航するでしょう。チームを客観的に見ることができ、それに適した補強ができる人となれば、たとえば岡田彰布氏、平田ヘッドの異動なども考えられるが…」(プロ野球解説者)
12年までGM補佐を務めた木戸克彦氏、真弓明信前監督もいる。
「優勝の可能性が消えた途端、関西系メディアの和田監督に対する扱いが冷たくなりました。まだシーズンが終わっていないし、CSによる日本シリーズ進出の可能性が消えていないのに、チーム再建の特集を始めたメディアもあります。球団もそれを黙認しているということは何かウラがあるのでは? たとえば、和田監督のフロント入りを約束しているとか…」(前出・関係者)
和田監督も新GM候補の1人と見たほうが良いだろう。現時点では憶測の域を出ていないが、東京ヤクルトは小川淳司・前監督をそのままフロント入りさせ、シニアディレクターとして『チームの補強、再建』に当たらせた。前監督がチームの戦況をもっとも把握しているからだ。チームの本当の力量を把握することが、トラのフロント改革ともなる。誰が新GMになるのか、オフは阪神の人事情報から目が離せそうにない。