日本の女子ミドル級は選手層が薄いため、しずちゃんはこれが通算2試合目、国内では初の公式戦。ミドル級のエントリーはわすか3人で、しずちゃんはシードされた。10日の準決勝で石井智紋(福山平成大コーチ)を破った鈴木に、しずちゃんが勝利し見事全日本を制した。
さて、問題はこれからだ。しずちゃんは本当にロンドン五輪に行けるのだろうか。女子ボクシングは同五輪で正式種目として採用された。階級はフライ級(48〜51キロ)、ライト級(57〜60キロ)、ミドル級(69〜75キロ)の3階級のみ。
五輪に出場できるのは各階級12人ずつ計36人。5月の世界選手権でベスト8に入れば、無条件で五輪への出場権を獲得できる。ただ、五輪では3階級しかないため(全日本は6階級)、重い選手が体重を落として、ミドル級に出場する可能性も高く世界は激戦区となる。公式戦わずか2試合の経験しかないしずちゃんがベスト8に入るには、相当厳しい道が待ち受けていると見られている。
では、世界選手権でベスト8に入れなかった場合だが、3階級で残り12人が出場できる。残りの枠は開催国枠と各大陸枠で、その枠に入る必要がある。各大陸枠は各国・地域に振り分けられるが、その選考基準は日本アマチュアボクシング連盟によると、3月のアジア選手権(16日開幕=モンゴル)の結果が反映される可能性があるものの、正式な決定方法はまだ決まっていないという。従って、世界でベスト8に入れなかった場合に備えて、まずはアジア選手権で好成績を挙げておく必要がある。
「やっと五輪のスタートラインに立てた。後で振り返ったとき、今日の自分は弱かったなと思えるくらい強くなりたい。練習あるのみ。マネージャーと日程を調整し、しばらくは練習に集中できる環境づくりをしたい」と先を見据えたしずちゃん。勝負の世界は結果がすべて。五輪に行けるかどうかは、今後に懸かっている。
(落合一郎)