出土年代ほか場所など詳しいことは不明だが、大きな頭に盛り上がった胴体4つ足は我々のよく知る恐竜そのものである。
このような恐竜の形をした土偶は世界各地で発見されており特に有名なのはメキシコのアカンバロで発掘された土偶である。
1945年、ドイツ人実業家ワルデマール・ユルスルートはアカンバロの町外れの山で奇妙な土偶を発見。家族とともに7年かけて発掘し3万体以上もの謎の土偶が発見された。
そのなかの一部は紛れもなく恐竜の形をしており「恐竜と人間は共存していた証拠ではないか」と話題になり各所で大きく報じられた。
しかしあまりによく出来すぎた話のため報道されるとともに「捏造説」が囁かれることになる。研究者の手によりアカンバロの恐竜土偶は紀元前1000年から紀元前4000年前のものと結果が出るが、個体によってバラつきがあり明確な証拠としては弱いという話もある。
また研究を受けたのは3万体中の数点であり「偶然恐竜に似た個体を選んだだけ」という話もある。確かに3万体もあれば恐竜に似た動物(ワニやトカゲなど)はおのずと作られるだろうし恐竜の形でない個体があったのは事実である。
しかしながらアカンバロに限らず、恐竜土偶は発見されており、恐竜と人間が戦っているシーンを描いたペルーの「カブレラストーン」、カンボジアのアンコールワット遺跡に描かれたトリケラトプスのレリーフなどは特に有名である。
上記の説ではこれらの説明がつかないため「恐竜土偶」は現在も研究が進められている状態にある。
文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所