ライダーやバロム1の人形で、面を取ると「あなた誰?」と突っ込まざるを得ない様な謎の人物が現れるアレである。
特に有名なのはGIジョー素体のフィギュアや「変身サイボーグ」等のコスチューム着脱式のフィギュア群だろうか。ライダーからウルトラマンまで混在し、ウルトラシリーズであれば、ブルマァク等のソフビでも防衛チームの隊員の人形等、明確に実写の人間キャラクターを意識した商品が多く存在したものである。
自分のリアルタイム時にもアーマー着脱式のヒーローである『特警ウインスペクター』(1991年)の「DXファイヤーテクター」(写真)並びに「着化指令シリーズ」や『特捜エクシードラフト』(1992年)の「トライジャケットシリーズ」、『ブルースワット』(1994年)の「コンバットクロスシリーズ」等の懐かしの“素顔のキャラクターもの”が思い出される。
ここ最近では『仮面ライダークウガ』(2000年)『仮面ライダーアギト』(2001年)の頃から発売されていた「装着変身シリーズ」が記憶に新しい。
今日においては、ハイターゲットユーザー向けのフィギュアブランド・メディコムトイのRAH(リアル・アクション・ヒーロー)シリーズ等を除くと、フィギュアのラインナップには実写の人間キャラフィギュアをあまり見かけない。
この背景にはまず、「近年はスーツ装着を意識させる作品が減ったこと」そして「俳優の権利向上と共に実写の人間キャラの立体化には色々と複雑な事情が絡むようになってきた」事等々がある様である。
先の「装着変身シリーズ」も『アギト』以降もラインナップは続いたのだが、『クウガ』であれば、素体の顔はオダギリジョーの演じた五代雄介を意識した造形に、『アギト』であれば、賀集利樹演ずる津上翔一に似せて造形されていたのだが、その後の新作においてはキャラクター登場原作の新作・旧作を問わず、フィギュア本体の顔を本物の俳優さんに似せて作られた商品はほぼ皆無になってしまった。
RAHシリーズにしても、ウルトラやライダーの変身前キャラクターの立体化において、新作・旧作問わず、「商品化されているもの」と「商品化されていないもの」がまばらにある事に気がつく。
版権や演者の権利、フィギュアの制作工程や精度の推移、ユーザーの嗜好の変化等々の様々な事情が絡んで、段々と実写作品のフィギュア市場も複雑になってきている様である。
(小野寺浩 山口敏太郎事務所)
【参照】山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou