報道によると、関東圏のチームでのプレーを希望しているという美馬に対し、巨人は解禁日となる来月3日以降に条件提示するとのこと。ただ、ロッテも交渉に動くと報じられていることに加え、現所属の楽天も宣言残留を認めているため、美馬の獲得へ向けては熾烈な争奪戦が展開される見通しであるとも伝えられている。
今シーズンの巨人の投手陣を見ると、規定投球回(143回)をクリアした先発は山口俊1選手のみと計算の立つ先発が不足。そのような状況の中リーグ優勝にはこぎ着けたものの、迎えた日本シリーズでは先発陣が最長でも6.1回までしかイニングを稼げなかった上、その後登板した2番手以降の中継ぎ陣が打ち込まれる展開が続出。結局、ソフトバンク相手に一度も勝てないままシリーズ終戦となった。
こうしたチーム事情を考えると、今シーズン楽天で唯一開幕から先発ローテを守り、パ・リーグでは他に5選手しかいない規定投球回(143回)をクリアした美馬は、一見すると来シーズンの日本一を狙うための補強ポイントに合致しているように思われる。
ただ、今回の一件を受けた巨人ファンからは賛同する声よりも「人的補償を出してまで獲得するような選手じゃない」、「そこまでむやみな補強する必要ある?」、「年齢も実績も微妙、今いる若手を育てる方がはるかにマシ」、「そんな暇とお金があるなら新外国人投手2、3人引っ張ってこい」といったブーイングが多数。
一方、「絶対野上の二の舞になるだろ」、「美馬はいらん、獲っても野上が増えるだけ」、「この球団は野上での失敗から何一つ学んでないな」という声も。2017年オフにFAで西武から巨人へ移籍した野上亮磨を引き合いに出した批判も数多く見受けられた。
「3年総額4億5000万円(推定)の契約で入団した野上でしたが、入団後は2年間でわずか5勝。先発から中継ぎへ配置転換された影響があったのか、それとも好待遇を手にして気が緩んでしまったのか、ここまでは思うような成績を残せていません。その上、今月20日には投球中に左アキレス腱を断裂し来シーズンの開幕が危機的な状況に。このままだと来オフのリリースは避けられなくなるでしょう」(スポーツライター)
「その野上がなぜ引き合いに出されているのかですが、移籍直前の野上と今シーズンの美馬の成績は野上が『24試合・11勝10敗・3.63・144回』、美馬が『25試合・8勝5敗・4.01・143.2回』と酷似しており、FA市場におけるランクも両者ともにB。また、通算成績(ともに9年)も野上が『207試合・903回・53勝56敗・防御率4.03』、美馬が『185試合・987.1回・51勝60敗・3.82』と似通った数字になっていますが、年齢は野上が当時30歳だったのに対し美馬は33歳。美馬の獲得に否定的なファンは、これらのデータを元に『補強にはならない』と結論付けているようです」(同)
球団の意向とは対照的に、懐疑的な見方をするファンが多い美馬の獲得。なお、こうした否定派の中には「頼むからロッテが獲得して」、「ロッテ頑張れ、なんとしても争奪戦に勝ってくれ」と、競合相手のロッテを応援する声も少なからず見受けられた。
文 / 柴田雅人