あの豪脚を再び。一昨年の覇者ブリッシュラックが外国馬としては史上初の安田記念V2をもくろみ、2年ぶりに府中の杜へ姿を現した。
これまでに2度、安田記念に参戦している。2005年は初めての東京コースをものともせずに鋭く追い込んできたが、直線で不利を受けて4着に惜敗。しかし、翌06年は2馬身1/2もの決定的な差をつけて圧勝した。
これは過去10年において、1998年のタイキシャトルと並ぶ最大着差。05年のスプリンターズSを制したサイレントウィットネスとともに、香港馬の強さをまざまざと見せつけ、日本競馬界を震撼させた。
あれから2年。あの一戦で燃え尽きたかのように低迷していたブリッシュラックだが、今年2月のセンテナリーヴァーズ(香港GIII)でようやく連敗をストップ。前走・チャンピオンズマイルでも3着と好走し、復調気配を見せている。
来日が3回目ともなると、馬も慣れたもの。無事に輸送をクリアし、翌日から落ち着いたムードで順調に調整が進んでいる。モウ攻馬手も「心身ともに健康な状態で食欲もいつも通り。上々のデキにあると思います」とリラックスした表情を浮かべていた。
1日には、競馬学校(白井)の1400m走路で5F67秒6→53秒3→38秒7→12秒0をマーク。2回目の来日時ほどの迫力、威圧感のようなものは感じられないが、馬体の張り、息遣いとも申し分なく、気配は良好だ。
通算58戦12勝。これまで数々の修羅場をくぐり抜けてきた。昨年のドバイワールドCで3着するなど、豪脚もいまだ健在だ。走り続けるしかないのがセン馬の宿命だが、その分、国際経験も豊富。単なる“香港3番手の馬”では終わりそうもない。
【最終追いVTR】芝1600mのスタート地点手前にゲートを置いた、実戦を想定した追い切り。スムーズに発馬を切ると、攻馬手は2F目に右ステッキを1発入れて気合をつけた。後半は徐々にペースダウンさせ、終了。ラップ形式の変則的な内容となったが、そこは香港流。フットワークは実に軽やかで仕上がりは万全だ。
○香港馬他2頭今朝の表情
7時の開門と同時に芝コース入りしたグッドババは、例によってダグで体をほぐした後にキャンターで1周する軽めの調整。昨日同様、首を激しく上下させて尻っぱねする気の荒いところを見せたが、調教師にいわせればいつものこと。明日、芝コースで強めの追い切りを行う予定。
グッドババとは対照的にアルマダは終始、落ち着いた雰囲気でダートコースを周回。今朝はキャンターで馬場を1周するにとどまり引き揚げた。こちらも明日、強めに追う予定だ。