1着マンハッタンカフェ、2着にアメリカンボス。3番人気だったマンハッタンはまだしも、アメリカンボスは13頭立ての13番人気。テイエムオペラオー、メイショウドトウといった強豪を退けた瞬間、「有馬=世相」というキーワードを再認識させられた。
あの結果で一発屋のイメージが完全に定着したアメリカンボスだが、そのキャリアは確かに山あり谷あり。重賞初Vとなった1999年のエプソムCも何と11番人気での勝利だった。
梅雨のはしりのジメジメした時季。2開催続いた東京競馬場は、最終日ということもあって馬場は相当荒れていた。しかも、古馬の一線級は安田記念や宝塚記念に向かうため、メンバーもどんぐりの背比べ。というわけで、エプソムCは例年、荒れる要素満載のレースなのだが、とりわけこの年はすごかった。
道中は5、6番手の好位を進んだアメリカンボスが力強く抜け出し2着に1馬身4分の3差をつけ快勝。その2着には9番人気のシグナスヒーロー、さらに3着は14番人気のリワードニンファが突っ込んだ。1番人気のレガシーハンターは後方で動けず9着惨敗。2番人気のツクバシンフォニーも4着に入るのが精いっぱいだった。
当時は3連複も3連単も、ましてや馬単もなかった。配当は馬連の3万7760円が目立つ程度だったが、もし3連単があったら1000万円を超えていたかもしれない。とにかくメガトン級の大穴だった。
そんなアメリカンボスを語るとき、欠かせないのが主戦を務めた江田照だろう。彼が初重賞勝ちを収めた90年の新潟記念、サファリオリーブからして14番人気だったが、重賞全25勝のうち、実に8番人気以下が10勝。最近はちょっと元気がない「穴の江田」の奮起にも期待したいところだ。