野球・日本代表「侍ジャパン」のスタッフ会議が開催されたのは、1月24日だった。3月9、10日に行われるメキシコ選抜チームとの強化試合に向け、「どんな選手を招集するのか」について、話し合った。
「若手中心のチーム編成になりそうです。ペナントレース開幕も近く、各チームの主力選手は実戦を想定した調整の真っ最中なので、代表試合に難色を示すでしょうし」(スポーツ紙記者)
会議後、稲葉篤紀監督(46)は清宮幸太郎内野手(19)の初招集も示唆した。目下、清宮は右手首の故障で自主トレでの調整も遅れているという。「回復」が大前提となるが、昨季、二軍ながら好成績を残したヤクルトの村上宗隆内野手の名前も挙げており、メキシコ戦を若手に国際試合の経験を積ませる機会に変えたいのだろう。
侍ジャパンの方向性が見えてきたのと時期を同じくして、DeNAのラミレス監督(44)も”猛アピール”を始めていた。
<昨日から日本人です!>
球団公式ツイッターを介し、1月23日に日本人国籍を取得したことを発表したのだ。
「ラミレス監督は侍ジャパンの指揮官になりたいと話してきました。どの球団もそうですが、DeNAの監督職は成績いかんでいつクビを切られるか分かりません。日本の国籍を取得することで、NPBにも『代表チームの監督をやりたい。そのための準備も怠っていない』とアピールしたかったんでしょう」(球界関係者)
親日家で日本人女性とも結婚したラミレス監督は、現役時代から”永住”への思いを口にしていた。ヤクルト、巨人時代を知るプロ野球解説者はこう話す。
「食生活も日本人そのもの。お箸の使い方も上手だし、納豆以外はみんな食べられると話していました。遠征中のホテルで朝食に焼き魚をリクエストしたこともあったし、たこ焼きや手羽先などの行きつけの店もあったり」
私生活でも日本人になりきっているようだ。
侍ジャパンの監督という目標だが、ラミレス監督にはNPB関係者も一目置いている点があるという。短期決戦の巧みな戦い方だ。一昨年のクライマックスシリーズでは劣勢を耐え忍んで広島を破り、日本シリーズでもソフトバンクを苦しめた。シーズン中も「8番・投手」の変則打順で臨むことが多い。先発投手を救援登板させる奇襲を用いる一方で、調子の上がらない選手を我慢して使う場面もある。DeNAスタッフによれば、「データを頭に入れ、数字を元に戦略を練るタイプ」という。
要するに、思いつきやヒラメキによる奇をてらった作戦ではなく、「根拠のある奇襲」を用いる指揮官なのだ。
「侍ジャパンの指揮官に選ばれることは名誉なことですが、そのプレッシャーは並大抵のものではありません。負けたときのバッシングは相当なもの。故・星野仙一氏が北京五輪で敗退したとき、二度はやりたくないとこぼしたほど。闘将の異名も持つ星野氏が弱気になるくらいですから」(前出・関係者)
ラミレス監督はこうした重圧について、どう考えているのか…。
12球団の監督経験者は代表指揮官を敬遠する傾向にある。稲葉代表監督の次を検討するときが来たら、”立候補”しているラミレス監督にスンナリ決まるのではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)