「ドラフトの答えは3年〜5年後に出る」とはプロ野球界ではよく使われる言葉だが、ドラフト上位指名の大学、社会人選手は、当然ながら即戦力として期待され入団している。知名度も高いだけに、これらの選手が一年目から活躍すれば、「成功のドラフト」と評価される。
その点、2017年ドラフトは球団の思惑通り、いやそれ以上の成果を上げたのではないか。
ドラフト1位の東克樹は開幕からローテーション入りを果たし11勝5敗、防御率2.45の好成績で文句なしの新人王も受賞。イニング間に栄養補給の為に口にするバナナがクローズアップされ、その姿を超望遠レンズを使用してカメラに収めようとする“バズーカカメラ女子”がハマスタの三塁側スタンドでスタンバイする光景も見受けられた。年間通じての活躍に“東がいなかったらCS争いどころか最下位だったのでは”とファンに言わせしめるほどだった。
ドラフト2位指名の神里和毅も、走攻守揃った外野手として、前評判通り、いやそれ以上の活躍をオープン戦から見せ、開幕からライトのポジションを手にした。三戦目には1番バッターを任せられるなど、シーズン序盤は“神里旋風”を巻き起こした。また、沖縄出身らしい端正なルックスで女性ファンが急増。背番号8のユニフォームは、小さいサイズを中心にバカ売れした。8月12日に右足甲にデッドボールを受け骨折してしまい、そのままシーズンを終えたが、打率.251、5ホームラン、15盗塁を記録。ルーキーとしては上々の成績を残した。
上位の二人だけではなく、その他の選手達も輝いた。3位指名の阪口皓亮は高卒のファームの育成プランに則り順調に投球回数を重ねると、オフのU-23の日本代表として選出。先発としてドミニカ相手に圧巻のピッチングを披露し、確かな成長を印象付けた。5位指名の櫻井周斗も阪口と同じくU-23代表に選ばれ、3試合で無失点ピッチング。しっかりと力を付けてきている印象だ。下位指名の7位宮本秀明、8位楠本泰史、9位山本祐大も一軍を経験。宮本と山本はホームランも放ち、楠本は大事な場面で代打起用されるなど、来季に向けて楽しみしかない状況だ。
昨年度のルーキー達の“あゆみ”は大合格。これだけ活躍すると、いわゆる「2年目のジンクス」が気になるところだが、やはりルーキーイヤーから活躍した今永昇太や濱口遥大らの先輩の助言や、コーチやスタッフの経験を活かし乗り越えてくれとファンは信じる。
そして今年度も、期待度の高いルーキーを獲得出来た。ラミレス監督は新入団記者発表会の際に「上茶谷、伊藤、大貫、知野の4人は一軍キャンプに連れて行きたい」と早くも公言。今年もルーキー達の動向が、今から楽しみである。
取材・文・写真/ 萩原孝弘