私の生まれ育った家庭は、父と母と妹の4人家族でした。しかし、両親はいつも妹ばかり可愛がり、私への態度は明らかに冷たかったんです。休みの日は、私を置いて3人で出掛けるということもよくありましたね。そのため、家族から愛されているという感覚がなく、ある時から、寂しさや心の苦しさを紛らわすために、自傷行為をするようになってしまったんです。手首にすると周囲にバレるので、二の腕や太ももあたりを傷つけていました。もちろん、学校の友人などにも相談することはできませんでした。
でも唯一、その苦しさを発散できたのがネットの世界です。あるチャットアプリで、私の家庭環境や悩みを親身に聞いてくれる男性がいました。そして、何気ない話題も含めて毎日のようにネットで交流するようになり、やがて会うことに。ネットで人と会うのは初めてだったので少し怖かったのですが、彼はいつもと変わらず、リアルでも私に優しく接してくれました。
チャットや電話で何度も話していたので、初めて会った感覚も薄く、すぐに打ち解けることができました。それで、付き合うようになったのですが、彼は私の自傷行為のことばかり聞いてくるんです。どんな時にするのか、どれぐらいの頻度でカットするのかといった質問もしてきました。そんなある日、「リストカットする時あったら俺を呼んで!」と言ってきたのです。最初は、止めるために駆け付けてくれるのかなと思ったのですが、彼は「腕のあちこちから血の出てる状態のままヤラせてよ」「切る時は呼んで! お願い!」と、目をギラつかせながら、すごい勢いで頼まれました。その時の彼はかなりテンションが高く、とても怖かったですね。最初からそういうことがしたくて私に近づいてきたのかもしれないとも思いました。もちろん自傷行為の時に、彼は呼んでいませんし、今は距離を置いています。
写真・imprint777