その間チームも6勝4敗と、不振を極めた4月から比べると明らかに上昇傾向にある。2番に座る宮崎敏郎も、5月は打率.373と4月までの打率.165から完全復調。神里&宮崎のコンビが機能し、ネフタリ・ソト、筒香嘉智、ホセ・ロペスの中軸へランナーのいる状況を作ることができている事も、好調の理由の一つと言えるだろう。
その神里だが、ルーキーの去年とは違う部分が多く見られる。まずはホームラン数。昨年は86試合出場し、ホームラン5本を記録したが、今年は41試合で早くも4本を放っている。バットを寝かせたライオンズ秋山翔吾に似ているフォームから放たれた打球は、去年より明らかに伸びが違う。打率も.296と限りなく3割に近づいてきている。これは規定打数到達者の中では、筒香(.306)に次ぐチーム2位の数字。8割を超えると優秀と言われているOPSも.794と素晴らしい数字を残している。
一方で課題もある。三振は54とリーグワースト。カウント別の打率も、2ストライクを取られた後は1割台前半と、トップバッターとしては厳しい数字が並ぶ。ファーストストライクを狙う積極的なスタイルは、ラミレス監督も奨励してはいるが、フォアボールが7つしか選べていない事も事実。ボール球を選ぶテクニックが身に付けば、もっと“嫌らしい”バッターになれることだろう。
盗塁も5つの成功を記録しているが、反面6つの失敗もある。スタメンでは走れるタイプが少ないだけに、成功率を上げることは必要であろう。守備面でもやや不安定な場面も見られる。名手の桑原将志と比べられることも多いだけに、不運な面もあるが、最近は守備固めで入る桑原がライトで、神里はセンターのままの場面がよく見受けられるだけに、更なる安定が期待される。
プロの壁は高く厚い。まだ2年目だけに、ぶつかることもあるであろう。ライバルがひしめいている“戦国ベイスターズ”の外野戦争は熾烈で、桑原、梶谷隆幸、楠本泰史らもその座を狙っている。しかし、彼のポテンシャルは誰もが認めるところ。攻・走・守+ルックスと“4拍子”揃った神里和樹はこれからどのように羽ばたくのかを、シーズン通じて刮目していきたい。
取材・文 ・ 写真/ 萩原孝弘