昨年ドラフト2位で日本生命から入団した神里。ルーキーながら開幕戦スタメンを掴み、開幕3戦目には、一昨年までの不動のリードオフマン桑原将志から“1番センター”を奪ってみせた。最大の武器は「犬から逃げ切った事もある」との逸話を残すほどの俊足で盗塁を重ね、三拍子揃ったプレーヤーとして貴重な戦力となっていた。
しかし、8月12日のタイガース戦で、デッドボールを受けた際、右足甲を骨折してしまい、そのまま一年目のシーズンを終えてしまった。一年目の成績は86試合出場し、打率.251、ホームラン5本、盗塁15という数字を残した。
故障も癒えた秋の奄美キャンプから、今シーズンに賭けた神里。春季キャンプではバットを寝かせたフォームを固めた。地元沖縄での最初のオープン戦でホームランを放ちアピールに成功するも、終盤から調子を崩し、二年連続の開幕スタメンのキップは逃してしまった。
ところが、4月4日の神宮でのスワローズ戦で、1番センターで初スタメンに起用されると、タイムリーと盗塁をマーク。次戦でもジャイアンツ菅野智之からもヒットを放つなど活躍を見せ、ラミレス監督からも「菅野にもタイミングが合っていた」と“球界のエース”打ちを高く評価。すると、土日のジャイアンツ戦でマルチヒットを記録。甲子園に場を移したタイガース戦では初戦はマルチ、2戦目は今季初ホームランを含む猛打賞、3戦目も勝負所のスリーランと大活躍。横浜に帰ってからのカープ戦でも勢いそのままに、初戦はワンヒット、1盗塁、2戦目は先頭打者ホームランと大暴れ。打率.333、8割を超えると優秀と言われているOPSは1.006と素晴らしい数字を残している。
現状ベイスターズのリードオフマン争いは、オープン戦首位打者の成長著しい楠本泰史に、一昨年までのレギュラー桑原将志との闘い。いずれも実力者だけに神里も安泰とは言えないが、この勢いをキープできれば、昨年から続いている“トップバッター問題”に、“島人の星”が終止符を打つかもしれない。
取材・文 ・ 写真/ 萩原孝弘