半年に1度のCT検査を終え、初の実戦に臨んだこの日は、伊藤旭彦と組み、秋山準&青木篤志と対戦した。
序盤は秋山の場外DDT、鉄柱攻撃などに苦しめられたが、「アイツの思っている以上のことを」とスリーパースープレックス、ハーフネルソン、剛腕ラリアートを発射。マシンガンチョップ40連発で高層ビル街に乾いた音を響かせた。
最後は27分46秒、パートナーの伊藤が青木のアサルトポイントに沈んだものの、「この熱気にも負けないプロレスをしたいと思っていました。来年も立ちます」と来年の参戦に向け、熱い思いを声にして叫んだ。
それには理由があった。昨年12月の復帰戦後、母親が大腸がんで入院し、手術したという。そんな出来事があっただけに、試合前には「大腸がん撲滅キャンペーン」をアピールし「今はもう元気になっています。周りの人が支えてあげることも必要だし、本人が諦めないことが一番大切」と力説した。
自らも腎臓がんを患って摘出手術を受け、一時はプロレスラー引退の危機に直面した。それでも現在も定期的な検査を行いながら、世界に前例のないという現役プロレスラーを続けている。「少しでも戦う元気を与えられるように、リングの上で頑張っていこうと思います」。小橋は闘い続けることで、闘病生活を送る人や、それを支える家族などに勇気を与えられるよう、これからも熱いメッセージを送り続けることを誓った。
次期シリーズ(23日、東京・後楽園ホール大会で開幕)前には、14日の宮城・仙台、15日の秋田・湯沢皆瀬と2大会が予定されている。宮城では三沢光晴、秋田では秋山と、タッグマッチでライバル2人と2連戦をこなす。その2連戦を乗り越えれば、、いよいよシリーズフル参戦も見えてくる。小橋も「シリーズ前にいい報告ができれば」と意気込んでいる。
命の尊さとがん撲滅のため、鉄人は自らの熱を全国に伝導していく。