例えば、立派な大人に「空飛ぶドラゴン」や「火を吹くヤマタノオロチ」などを見たと言われても、リアクションに困るし、「おまえは、特撮映画のスタッフか!」「早く、病院に行ったほうが良いですよ!」と言いたくても、目撃者の瞳が涙でうるんでいると、つい思わず「ほう、それは凄い目撃談ですね」と言ってしまうのが人情というものだ。
今回、世界中に配信された未確認生物(UMA)目撃事件も、ツッコミどころが満載なのだが、なかなかその隙を与えない。実は、2009年の初夏あたりから、イスラエルのハイファという町の海辺にて、人魚目撃事件が多発している。そう、あのお肉を食べるともれなく不老不死になれるという「人魚」である。江戸期の日本では、シャケと猿のミイラを縫い合わせ「人魚のミイラ」として、オランダや中国へ販売しており、重要な輸出品のひとつであった。言い換えれば、江戸時代のガレージキットみたいなものだが、そんな人魚がナマモノとして、生きて目撃されているというのだ。いくらなんでも無茶すぎる。
報道によると、イスラエル・ハイファの近くのキリヤット・ヤム(Kiryat Yam)という場所にて、ここ数か月間に、何十件もの人魚目撃例が報告されているというのだ(うむむっ、なかなか豪快で思い切りの良いニュースではないか)。
報道された情報によると、問題の人魚は、夕方に出現するらしく、まるでイルカのように海中からジャンプし、軽快に泳ぎ回った後、再び海中に消えてしまうらしい。地元自治体は、人魚との共存共栄を図りたいと言いながらも、「もし人魚の実在を証明(明らかに確認できる写真撮影など)すれば、賞金として100万ドル(1億円)を差し上げる」と表明している(遠野の河童生け捕り賞金は一千万だから、かなり奮発したようだ)。
「ガチ? ネタ? どっちやねん!!」
町おこしを狙った町ぐるみのネタなのか、本当に人魚のような怪しい生物がいたのか。そのあたり、主旨がよく理解できないのだが、イスラエルとアラブの戦いも、人魚の歌声で収まってくれれば素晴らしいのだが…。
文:和田大輔 監修:山口敏太郎 取材:山口敏太郎事務所