そのわずか1週間後、地下戦士たちがふたたび聖地・新宿に還ってきて熱戦を繰り広げた。
メインは地下世界王者・紅闘志也(くれない・としや)とペドロ高石とのタイトルマッチ。ペドロも8・29“霊峰富士山頂プロレス”を三州ツバ吉とともに完遂した一人。先週の埼玉決戦では三州とタイトル戦を行った紅は、奇しくも2週続けて“富士山頂プロレス”を闘った旬な男たちを迎え撃つこととなる。
カポエイラをベースとするペドロは、開始早々から“カポエイラ・マスター”の名の通りに、目にも止まらぬ予測不可能な鮮やかな足技を連発し、紅を大いに驚かせる。グラウンドでもブラジリアン柔術をベースとした動きを見せ、“カポエイラ&柔術”のブラジリアン波状攻撃で紅を追い込む。
カポエイラがベースのペドロを迎え撃つ紅は、ムエタイがベース。このムエタイ対カポエイラの“異種格闘義戦”は、予想だにしないスイングを見せ、息詰まる名勝負となった。“何でも有り”といえば総合格闘技の定番キャッチフレーズであるが、今やMMA(Mixed Martial Arts)という名の“競技”に収斂された感のある総合の試合ではもう見られなくなった、何が飛び出すかわからない“びっくり箱感”が、この試合には溢れていたのだ。
そしてこのムエタイ対カポエイラの異次元対決を裁いたのが、空手の猛者・“先生”こと小笠原和彦。試合前の国歌斉唱が“予測不可能ラッパー”のPRIMAL。ムエタイ、カポエイラ、カラテ、そしてラップ…、リングの上は異種の才能のごった煮状態となっているが、様々なルーツを背負う者が一堂に会するのが地下のリングなので、これでまったく問題ないのである。
そしてこの異次元対決の結末が、さらにファンタジックなイリュージョンとなったのだ。8・22『ARAISE』でのナイトキング・ジュリー戦で、「試合中突如閃いて」コブラツイストを繰り出した紅。以降「確実にギブアップを取れるように研究してたんだよ!」と本人が豪語する、改良された“紅コブラ”で、なんとペドロからタップを奪ったのだ!
これはいったい、何ということだろう。梶原一騎の劇画『紅の挑戦者』の主人公の名を背負うムエタイ戦士は、地下プロレスのリングを経ることによって、もはやジャンル分け不可能な存在、つまり“職業・紅闘志也”としか言いようのない唯一無二の格闘戦士と化しているのだ…!
Ishtaria(イシュタリア)・non嬢のソロダンス、春兜京(はると・きょう)の緊縛ショーが闘いにインパクトを与えた9月のCORE STADIUM決戦だが、メイン以外のトピックでは、“路地裏職人”磯英弥が久々の地下登場。富豪2夢路(ふごふご・ゆめじ)相手に得意のグラウンド、そして低空バックドロップを見せて健闘した(試合は、首をネジ切るようなグラウンドのヘッドロックで夢路勝利)。
そして第2、3試合で連戦した入道と竹嶋健史の、地下で夢を見る者同士(言うなれば「Underground Dreamers」か?)の熾烈な争いも、今後大いに注目である(第2試合勝者・入道は、嬉しい地下シングル戦初勝利!)。
全試合結果は以下の通り。
◆地下プロレス『EXIT-49 CORE:P』
2010年9月19日(日)開始:18:00
会場:東京・新宿歌舞伎町二丁目『CORE STADIUM』
<第1試合>
○“頭突き世界一”富豪2夢路(6分38秒 ヘッドロック)●“路地裏職人”磯英弥
<第2試合>
○“求道妖怪”入道(4分05秒 スリーパーホールド)●“タックル将校”竹嶋健史
<第3試合>
○“兇悪獣”ナイトキング・ジュリー、“人生レッドカード”JOM、竹嶋健史(13分42秒 片羽絞め)“格闘僧侶”日龍、“革命王子”矢野啓太、●入道
<第4試合 WUW(World Underground Wrestling)世界選手権>
○[王者]“人間狂気”紅闘志也(9分49秒 コブラツイスト)●[挑戦者]“カポエイラ・マスター”ペドロ高石
※第26代王者・紅が王座防衛に成功。
※試合はすべて時間無制限一本勝負。KO、ギブアップのみで決着。
地下プロレス『EXIT』公式サイト
http://www7.plala.or.jp/EXIT/
梶原劇画で伝承された「地下プロレス」が、この日本に存在した! 闇の闘いを伝える『EXIT』とは何か!?
http://npn.co.jp/article/detail/97320773/
魔都・東京の地下ネットワークが、高田馬場に拡散! 8・22地下プロレス『EXIT-45 MOONLIGHT』(1)
http://npn.co.jp/article/detail/22766825/
(山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou