「5月4日未明、深沢容疑者が、『女性が首から血を流して死んでいる』と110番し、駆け付けた署員が玄関で倒れている弘子さんを発見。近くに果物ナイフがあり、自殺をほのめかす文書も室内から見つかり、当初は自殺とみられていました。しかし、司法解剖の結果、傷痕の形状が自傷行為ではできないものと判明。死因は首を絞められたことによる窒息死と判断され、殺人事件に切り替えて捜査を進めていたのです。すると3人が、犯行前に無料通話アプリ『LINE』で連絡を取り合い〈今日はやめよう〉などと殺害の機会をうかがうような書き込みを行っていたことが分かりました」(捜査関係者)
動機は何だったのか。近隣の住民は「遺産相続でもめているという噂はありましたけれど…」と困惑顔。
三姉妹の父親は電力会社に勤めるサラリーマンだったが3年前に亡くなり、昨年8月に母親も他界している。敷地面積約220坪の自宅の土地と建物の所有権は母親のままだというが、江川家の資産はいかほどか。
まず自宅は土地だけで1億5000万円強、周辺には40台分の駐車場と12部屋あるアパートを経営。他にもいくつか処分を控える貸家などもあり、「家賃収入はざっと月120万円」というのが地元不動産業者の“見積もり”だ。
「父親は生前きちんと遺言を残しており、娘3人で相続すれば何の問題もないはずだった。そこへ、ややこしい人(深沢薫容疑者)が入ってきておかしくなった」(亡くなった父親の知人)
母親が亡くなってから、離婚して小学生の娘さんを連れて出戻ったのが、殺された長女の弘子さんだった。
「弘子さんは離婚後、うつ病を患って通院していたようです。母親は三姉妹それぞれの性格を考え、弘子さんに多くの固定資産を残し、会社は悦子に継がせました。しかし、会社の資産として見込める不動産の大部分を弘子さんが相続していて、不都合も生じた。そこで、弘子さんに協力してもらえるように悦子が説得していたらしいのですが…」(同)
祖父の時代から地元では有名な大地主だったという江川家。事件は遺産をめぐる争いだったのか−−。他人からは到底うかがい知れない“家族の闇”の解明が待たれる。