山本被告は大相撲の八百長問題に話が及ぶと、「十両に上がってから10番くらいやった」と驚きの発言をしたが、対戦相手など具体的なことについては語らなかった。
これまで、元小結・板井氏を始め、数人の元力士が過去の八百長を告白してきたが、日本相撲協会は一貫して否定し続けてきた。野球賭博事件に絡んだ八百長メール発覚に端を発した先の八百長問題について、協会は直近の八百長こそ認めたものの、過去における八百長はなかったとして、問題を収めてしまった。相撲界を追われた身とはいえ、部屋持ちの師匠まで務めた山本被告の今回の証言は重い。協会にとっては、耳の痛い話だろう。
ところで、その死亡事件とは、検察側の主張によると、07年6月25日に斉藤さんが山本被告からビール瓶で頭部を殴られた上、数人の兄弟子が暴行を加えた。翌26日のけい古では必要以上の“かわいがり”を受けた上、兄弟子が集団暴行を加えたというもの。その結果、斉藤さんは心肺停止状態となり、虚血性心疾患で死亡した。
この事態を受け、協会は山本被告を解雇。愛知県警は暴行と死亡の因果関係が立証されたとして、山本被告と兄弟子3人を08年2月に傷害致死容疑で逮捕。3人の兄弟子はすでに有罪判決が確定している。山本被告は09年5月、名古屋地方裁判所での一審で懲役6年の実刑判決を受け控訴。10年4月、名古屋高裁は一審を破棄し、懲役5年の実刑判決を下したが、山本被告は即日上告。現在、最高裁にて審理中となっている。
(落合一郎)