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キャンプ・オープン戦中間報告「福岡ソフトバンク」 12球団トップの巨大戦力で連覇を

 宮崎県宮崎市は「キャンプ取材」のやり易い町でもある。繁華街から巨人がキャンプを行ったサンマリンスタジアム(一次キャンプ/県営球場施設)まで、約10分。ホークスのキャンプ地・生目の杜球場にも10分程度で行ける。両球団をハシゴしようと思っても、10分で移動できる。そんな移動のタクシー内で必ず、話題に上がるのがホークスのこと。「本当に良く練習している」−−。福岡ソフトバンクホークスの猛練習は、2月の風物詩と言っていいだろう。
 生目の杜球場周辺で待機するタクシードライバー、飲食店関係者によれば、「夜8時すぎに二軍首脳陣が球場から出てくる日もあった」そうだ。若手がその時間帯まで練習しているのである。

 秋山幸二監督(48)は若手の突き上げに期待しているという。いや、「若手がどうの」という前に、レギュラー争いそのものがサバイバルである。一塁の定位置はキャプテン・小久保裕紀(39)と新加入のカブレラ(39)が争っていた。カブレラは「指名打者もあり得る」と思ったが、そうもいかないようだ。二塁は盗塁王・本多雄一(26)と福田秀平(22/登録は外野手)、三塁は松田宣浩(27)とオーティズ(33/登録は外野手)、遊撃は川崎宗則(29)と成長著しい2年目の今宮健太(19)が、並んでノックを受けていた。他ポジションのレギュラー争いも熾烈化しているので、「小久保対カブレラ」の正一塁手争いに敗れた側が「指名打者にまわる」なんてノンキなことは言っていられないのだ。外野も、同様である。松中信彦(37)、FA加入の内川聖一(28)、長谷川勇也(26)、多村仁志(33)、柴原洋(36)…。新人の柳田悠岐(22)もいる。実績のある松中、柴原も使いたい。オーティズの勝負強い打撃も捨てがたい。松中はレフトで必死にノックを受けていた。そういうベテランの姿を見ると、若い選手は「お先に〜」なんて、練習を切り上げられないはずだ。松中自身も「指名打者」争いでもライバルの多いことに危機意識を感じているのだろう。小久保、松中の必死な様子がチームに活気と緊張感を与えているのである。
 ホークス野手陣はチームを2分割しても戦えるくらい、選手層が厚い。状況によっては、内川もスタメン落ちする試合もあるのではないだろうか。

 高いレベルでの『レギュラー争い』がホークスの強さとも言えるが、フリー打撃で光っていたのが、福田と柳田の両左打者だ。福田は昨季までスイッチヒッターだったが、今季からは「左打席1本」で勝負するという。けっこう、パンチ力がある。柳田が広島六大学野球で4度の首位打者に輝いた経歴は知っている。しかし、打球を見ていると、従来のアベレージヒッターとは違うタイプのようだ。打球が伸びる。紅白戦の一発は見られなかったが(2月19日)、フリー打撃でスタンドインする打球は高々と上がるのではなく、ライナー性のものが多かった。ヒット性の打球にしても、「野手の間を抜ける」のではなく、「内野手の頭を越えていく」。外野のレギュラー争いも熾烈だが、柳田と福田は「左の代打」でも使ってみたい選手だと思った。

 投手陣も層が厚さを感じさせる。先発スタッフだが、和田毅(30=17勝)、杉内俊哉(30=16勝)、ホールトン(31=8勝)の3人はローテーション入りが間違いない。大隣憲司(26)、大場翔太(25)、復活を目指す新垣渚(30)、同じく怪我からの復調を目指すホールトン(31=8勝)、新加入のレルー(28)、そして、セットアッパーから転向する摂津正(28)、育成枠からの大飛躍を遂げた山田大樹(22)が4番手以降を争う。秋山監督は「7人でローテーションをまわす」案も示唆したが(3月7日)、大場、新垣、ホールトンの右の先発候補に一抹の不安があるから、摂津の先発転向に踏み切ったとも推測できる。
 右の先発候補のなかで、レルーは面白いと思う。194センチの長身から投げ下ろす投球は、対戦打者に「角度」ウンヌンを思わせる前に、「見づらい」という印象を持つはずだ。セットアッパーのファルケンボーグも身長200センチ。リリーフポイントはファルケンボーグの方が「高い位置」にあるはずだが、レルーはストレートが速い。だから、「見づらい」のであって、推定140キロ半ばのスピードで「小さく沈む変化球」も投げていた。本人はチェンジアップと話していたそうだが、「縦の小さいカーブ」といった感じだった。面白いボールだと思ったが、オープン戦では結果を出せなかった。プロ野球解説者によれば、「ストライクを取れる球種が限られている」と言う。『日本球界の配球』を早く理解してもらいたい。

 4年目の岩崎翔(21)を推す声が多く聞かれた。昨年オフ、プエルトリコのウインターリーグで8勝(10試合)を挙げたそうだが、ストレート、変化球に際立った特徴があるわけではない。しかし、総合力の高い投手だと思った。将来のエース候補だという。ホークスが近年抱えてきた課題は、強い右の先発投手がいないこと。この岩崎が一軍に定着すれば、「死角」はなくなる。

 正捕手争いは、FA加入の細川亨(31)が頭1つリードしている。山崎勝己(28)は昨年77試合に、田上秀則(30)は84試合に出場している。「捕手としての実績」は細川の方が「上」だが、山崎、田上は悪い捕手ではない。ただ、山崎も田上も有力投手から「アイツでなければダメだ!」という“ご指名”を受けたことはない。日本ハム・ダルビッシュが鶴岡を信頼するような『親密関係』を、山崎たちにも構築してほしいと思った。このままベンチを温めるだけでは惜しい捕手たちである。
 選手層の厚さが、そのままレギュラー争いを激しさに直結していた。キャンプでの練習の活気、選手層を見る限り、ホークスが優勝候補だろう。ペナントレースがより面白くなるためには、予想は外れた方がいいのだが…。(スポーツライター・飯山満)

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