ここでキングにのし上がる。古馬の頂点を目指すアサクサキングスがうなるような仕上がりだ。
それをはっきり示した18日の1週前追い切り。「いつものようにいい動きでしたよ」サラリと言ってのけた寺島助手だったが、その走りは言葉をはるかに上回る熱を帯びていた。
栗東DWコース。先行させた古馬1600万のパントマイミストをあっさり捕らえると直線は独壇場だった。大きなフットワークでグイグイ加速。6F81秒3、ラスト1Fは11秒3という強烈な切れ味で、併走馬を6馬身置き去りにした。
「順調に仕上がっている。完歩の大きな馬は通常スピード感がないものだけど、この馬は古馬になってスピードを身につけたし、迫力も出てきている」
中間は放牧に出して前走の疲れもきっちり取りさった。リフレッシュされ、仕上げにはさらに磨きがかかった。
その前走、天皇賞・春は3着。あと一歩の伸びを欠いた。昨年の菊花賞馬としてステイヤー最高の舞台で見せたパフォーマンスにはやや物足りなさも残ったが、寺島助手はこう分析する。
「菊花賞を勝ってくれたけど、本来は二千から二四が向いていると思っている」
スタミナに加え、スピードと切れ味を兼備した今なら、その思いはより説得力を増す。
3歳馬の身で昨年も宝塚記念に挑戦した。ダービーで2着していたとはいえ、さすがに古馬の壁は厚かった。だが、その経験はここにしっかり生かされている。
「昨年は中2週のローテーションが続いて厳しい状況だった。その点、今年はゆったりした日程で思うように調整できている。だから落ち着きもあるし、何より元気の良さが違う。前々で粘り込みたい」
メイショウサムソン、アドマイヤオーラとライバルは多い。しかし、今の勢いなら、やってくれる。そんな雰囲気をキングスは漂わせている。