「ドラフトが、それもまた指名が決定していない選手が監督人事に影響するなんて、前代未聞」(ベテラン記者)
ドラフト会議(10月17日)までに「新監督」を決めたいとする球団は少なくないようだ。テレビ中継が入ったことでドラフト会議が“ショー化”された。
「監督のいないチームのテーブルが全国区でオンエアされたら、イメージダウンです。2011年の旧横浜ベイスターズが実際にそうでした」(前出・同)
しかし、今年のドラフト中継では「監督不在」のチームが出てしまうかもしれない。また一方で、新監督のお披露目の場にしようとする球団もあった。
「クライマックスシリーズ・ファーストステージを戦う福岡ソフトバンクホークス、東北楽天ゴールデンイーグルスはともに『難しい』と思います。時間がない」
10月5日〜8日=CSファーストステージ
10月9日〜14日=CSファイナルステージ
10月17日 =ドラフト会議
10月19日 =日本シリーズ第一戦
ソフトバンクの工藤公康監督(56)は今季で3年契約が終了する。福岡移転30周年を優勝で飾ることができなかったことで「退任」と見るメディアも少なくないが、後任候補の一人だった松中信彦氏(45)が、ひと足先に独立リーグ球団のGM兼総監督に着任。小久保裕紀・前侍ジャパン代表監督(47)、秋山幸二前監督(57)の名前も出ているが、工藤監督がCSを勝ち上がって日本シリーズ進出を決めれば、「留任」となる。
「同じプロ野球チームとして、CS、日本シリーズの最中に新監督を発表することは、エチケットとしてできません。シリーズ前に新監督を発表するとしたら、CSファイナルの終了した10月15日と16日の2日間しかありません。選手がCSファーストステージを戦っている裏で新監督との交渉はできないでしょう」(球界関係者)
CS前、工藤監督にだけ「退任」を通達することもできない。バレれば、チームの士気にも影響するからだ。
楽天は平石洋介監督(39)の退任がすでに決定的になっている。CSファーストステージで敗れれば、ドラフト前に発表できるが、シリーズ進出となれば、ドラフト会議での新監督のお披露目はできない。
そういえば、古田敦也氏(54)が“フリー”になった。メインキャスターを務めていたBS番組が突如、終了することになったのだ。独立リーグの監督だった二岡智宏氏(43)もわずか1年での退任が発表された。一昨年、二岡氏は巨人・岡本和真の教育係を務めており、その指導力を高く買う声もある。新監督発表まで時間のないソフトバンク、楽天と話がデキている“フリーのOB”が、何人かいるのではないだろうか。進退が決まらないままCSを戦う工藤監督にも同情するが…。(スポーツライター・飯山満)