春シーズンは新潟大賞典→エプソムCの2重賞を含む3戦3勝。6歳を迎えて、一気に晩成の血を開花させたシンゲン。
3連勝の中身も濃い。とりわけ、特筆すべきは爆発的な瞬発力。何と3勝すべてでメンバー最速の鬼脚を爆発させ、0秒2、0秒5、0秒2突き放す完勝だから恐れ入る。
伝家の宝刀はひと夏越して、一段と威力を増している。最終追い切り(23日)がその証し。先週(美浦ポリトラック、5F63秒7=G仕掛け)に続き、5F63秒9(同=馬なり)を叩き出し、抜群のスピードと切れ味を見せつけている。
「えっ、こんなに速かったの」。タイムを確認した大上純調教厩務員は、目を丸くして驚いた。そして、「それだけ状態がいい証拠ですね。現時点で最高の仕上がり。心配な点は何もないですよ」と太鼓判を押した。
飛躍の秋を迎えて、いよいよ完成の域に近づいている。「ひと夏越して一段と落ち着きが出て、風格が感じられる。オン・オフの切り替えも上手になり、精神面の成長は大きい」というから頼もしい限りだ。
大上さんは、競馬の世界に入って5年目。キャリアは浅いが、競馬学校の同期生(約30人)の中では出世頭。重賞勝ちしているのはシンゲンの大上さんと、ほかに2人しかいない。
最大目標は天皇賞・秋だが、叩き台という安易な考えはない。GI馬が出走しているここで好勝負できないようなら、夢ははかなくしぼんでしまう。
真価を問われる大事な一戦を前にして、大上さんは決意も新たにこう締めくくった。
「ベストは東京だけど、折り合いさえつけば中山も問題ない。不安より楽しみの方が大きいですね」