野球人気低迷が叫ばれる昨今、今季、巨人戦の公式戦中継は視聴率2ケタ台に乗せるのがやっとの状況で、1ケタ台を記録することも少なくなかった。
そんななか、10月22日、「セ・リーグCS(クライマックスシリーズ)ファイナルステージ第6戦〜巨人対中日」(日本テレビ系列)は20.1%(視聴率は以下すべて、ビデオリサーチ調べ、関東地区)をマークし、今シーズンのプロ野球中継で初めて、20%の大台を突破した。
09年と同一カードとなった今年の日本シリーズは、巨人対日本ハム。ここ2年、セ・リーグでは中日がシリーズに出ており、3年ぶりに人気球団の巨人が進出したとあって、視聴率推移にも注目が集まった。
第1戦(10月27日)=17.3%(日本テレビ系列)、第2戦(同28日)=17.5%(日本テレビ系列)とまずまずのスタートだったが、舞台を札幌ドームに移しての第3戦(同30日)は、13.7%(テレビ朝日系列=リレー中継した「報道ステーション」は15.7%)と低調。第4戦(同31日)は17.4%(フジテレビ系列)と持ち直し、第5戦(11月1日)=19.3%(テレビ朝日系列=リレー中継した「報道ステーション」は20.4%)とアップ。
そして、巨人が日本一を決めた第6戦(同3日)は23.3%と飛躍的に上昇。日本ハム本拠の札幌地区では38.3%だった。瞬間最高は関東地区=38.8%、札幌地区では驚異の56.5%で、巨人が優勝を決めた場面だった。日本シリーズの視聴率が関東地区で20%を超えたのは10年(中日対ロッテ)第7戦の20.6%以来、2年ぶり。
放送局が違うため、正確な数字ではないが、全6戦の平均視聴率は関東=18.03%、札幌=32.4%だった。ただ、第2、3、4戦はNHK・BS1で、巨人本拠の第1、2、6戦はCS放送G+でも放送されたため、実質的な視聴率は、この数字以上となる。
カードが同じだった09年の全6戦平均の視聴率は関東=18.02%、札幌=38.0%で、関東は今年とほぼ変わらなかったが、札幌地区が落ち込んだ。
巨人のシリーズ制覇が決まった3日は、浅田真央が優勝した「フィギュアスケート・グランプリシリーズ・世界一決定戦2012 第3戦中国大会〜男女フリー」中継(テレビ朝日系列)とバッティングしたが、第1部(午後6時30分〜7時)=11.6%、第2部(午後7時〜9時28分)=18.4%で、日本シリーズの圧勝だった。
娯楽の多様化や、熱心な野球ファンが地上波からBS、CSにスライドした関係で、巨人の公式戦自体の視聴率は下がっているが、CSや日本シリーズの視聴率は高く、まだまだ野球人気も健在である証明となった。
(落合一郎)