タイトル戦決定後から舌戦を繰り広げている両雄は、この日の調印式でもギスギスした雰囲気だった。中邑から近年ベルト戦線に絡んでいない体たらくぶりを指摘されていただけに、特に永田はフラストレーションがたまっていた。
「カウント1、2、3、と数える必要もないくらいノックアウトできるようもっていきたい。過去にデカイ記録や実績をつくってきたけど、いまの俺は過去の永田裕志より強い。そういうところを見せつけた上でベルトをふんだくって、僕の腰に2年2カ月ぶりに取り返す」
IWGPヘビー級王座最多の10度防衛記録を保持するミスターIWGPからしてみれば、いまの中邑だってIWGP王者としてはまだまだ満足できるレベルではないという。
「俺が連続防衛記録を作ったときは新日本プロレスの選手、社員にメシを食わせていた自負があった。そのぐらいの自負がいまの中邑クンにあるか?」
現王者の政権運営能力に疑問を呈し、挑発する永田の“口撃”はやまない。「俺がチャンピオンでチケットが売れないのがイヤだったんで、世間に注目を浴びるような記事や話題もドンドン発信すれば、自分で営業もした。それに選手会長として道場の練習も仕切っていたし、それぐらい完ぺきだった。ま、いまはそこまで役割を担う必要がないくらい会社がケアしてくれますから、いいと思いますけどね」
あたかも現王者を物足りないといわんばかり。
これに一方の中邑も応戦。まずは「チャンピオンのあり方についてはなりたてのチャンピオンなんで。つくりあげていくのは、闘って闘って、振り向いたときにそれができてればいい」と突っぱねながら「永田裕志とは四の五の適当にののしり合って盛上げるよりも、リングでやればいい」とリングでの制裁を誓っていた。