平井は主に先発・リリーフとして昨季までに「283登板・25勝22敗72ホールド・防御率3.47」、今季はリリーフ一本で「40登板・3勝3敗20ホールド・防御率2.95」といった数字をマークしている右腕。報道によると、22日で出場選手登録日数が7年に達し権利取得条件を満たしたという。
平井は球団を通じて発表したコメントでは「まだシーズン中で試合も残っていて、上を狙える位置にいますので、目の前の試合に集中して全力で戦っていきます」と、権利を行使するかどうかについては言及しなかったという。ただ、昨オフの動きから権利行使は濃厚と見ているファンもいるようだ。
>>西武・平井、マウンド上でブチギレ?「なんかブツブツ言ってる」失点直後の表情に驚きの声、自身の投球に苛立ったか<<
「平井は昨季先発・リリーフとして『30登板・6勝8敗2ホールド・防御率2.89』といった数字を残しましたが、球団は同年オフの契約更改交渉で複数年契約を打診。しかし、平井は『自分に甘えを持ってプレーしたくない』として複数年を固辞し、1200万増の年俸8000万円(推定)で単年契約を結びました。そのため、ファンの間では平井は今オフにFA宣言することを念頭に複数年を断ったのではという意見は見られます」(野球ライター)
平井は先発・リリーフのどちらもこなせることに加え、2019年にプロ野球史上2位となるシーズン81登板を記録したタフネスぶりも持ち味。現時点ではまだ調査報道は出ていないが、今季救援防御率がセ最下位(3.89)の巨人や、チーム防御率パ最下位(3.57)の楽天など、投手陣に不安を抱える球団にとっては魅力的に映っても不思議ではないだろう。
ただ、ファンの中にはいくつかの不安要素があることから、大規模な争奪戦には発展しないのではという見方もある。平井はプロ1年目の2017年からから81登板を記録した2019年までの通算防御率は「3.19」だったが、翌2020~2022年は「3.71」と悪化。勤続疲労の影響もあってか数字を落としていることを踏まえると、仮に複数年提示で獲得にこぎつけたとしてもどれだけ稼働が見込めるかは不透明といえる。
また、平井は人的・金銭補償が必要なBランク(元球団の年俸上位4~10位)に位置すると見られており、獲得に相応のコストが必要になる点もネック。有望な若手などが流出するリスク覚悟で、登板数がかさみ気味な中堅投手である平井獲得に動く球団が複数出てくるかは疑問だ。
今季はまだ残り1か月ほどあるため、残留、移籍に関わらず、好条件の契約を手にするためには結果が欲しい平井。平井が結果を残せば、CS圏内の3位・ソフトバンクを6.5ゲーム差で追うチームにとっても追い風となるが、数字を上げながらシーズンを完走することはできるだろうか。
文 / 柴田雅人