「球宴に選ばれた選手の中にはケガで一軍登録を抹消されている選手もいますが?」
NPBの担当職員に各メディアがそう聞いた。なぜ、こんな質問をしたかと言うと、巨人・坂本勇人、オリックス・森友哉、そして、2日の右脇腹にデッドボールを食らい、右肋骨を骨折した近本光司の復帰時期が分からないからだ。
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近年、球団は選手のケガの具合や復帰時期について明確な説明をしてくれなくなった。「コンディション不良」と言うだけだ。主力選手のケガの具合は“企業秘密”みたいなもの。詳細を説明しなくなった理由も分からなくはない。
NPB職員がケガの状態を知るはずもないのだが、球宴にも選ばれた以上、阪神は近本の診断結果をNPB事務局に伝えなければならない。「復帰の時期を探るヒントになれば」と思い、質問したのである。
NPB職員からは意外な言葉が返ってきた。
「まだ(辞退の)連絡はありません」
「連絡ナシ=球宴出場」とは解釈できないが、7月5日、マツダスタジアムでの広島戦が始まる前、こんな情報も飛び込んできた。
「同日、鳴尾浜の二軍施設に近本が来たんです。通常メニューではありませんでしたが、トレーニングウェアに着替え、体も動かしていました」(在阪メディア)
肋骨の骨折ともなれば、ちょっと体が揺れた程度でも痛みが走るはずだ。
近本はデッドボールを食らった後、守備にも就いている。「球宴出場」は厳しいとしても、早期復帰はあり得るのではないだろうか。
今季12度目の完封勝利となった5日の広島戦を、阪神OBのプロ野球解説者が評していた。
「前日の同カードでは、阪神が苦手とする広島・床田寛樹に抑えられ、5日は広島が苦手とする大竹耕太郎が完封勝利を挙げました。また、近本のいない打線ですが、『島田海吏、中野拓夢』で1・2番コンビを編成しました。前日は中野を1番にしたように、岡田彰布監督は色々とテストしているみたい」
その島田にプロ初アーチが出て、大竹の完封もプロ初。自身が抜てきした選手が活躍し、岡田監督も上機嫌だったが、注目すべき点がもう一つあった。
広島の6番・デビッドソンに対する配球だ。デビッドソンは打率こそ低いが、ホームラン数はチームトップ。このデビッドソンが勢いづいた試合はハイスコアになることも多い。大竹と坂本誠志郎のバッテリーは大胆にも直球メインの配球で3打数無安打2三振に封じ込めたのだ。
「どの球団もデビッドソンに直球メインの配球はやって来なかったはず。おそらく、阪神スコアラーが弱点に気付き、現場に報告したのでしょう」(前出・同)
投打ともに戦力が苦しい中、阪神はフロントと一丸となって、猛追撃を始めた広島を叩いたようだ。近本のプロ根性もスゴイが、この調子で行けば、治療に十分な時間も掛けられそうである。(スポーツライター・飯山満)