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「おぐらが斬る!」まさか⁉ 人類は作物や家畜に支配されているのかも知れない

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人類が誕生してから数百万年もの間、狩猟採集をして生きてきた。何種類もいた人類のうち、約20万年前に我々ホモ・サピエンスが生まれ、ホモ・サピエンスも19万年ほど狩猟採集生活を続けてきた。

狩猟採集生活とはどんな生活であったのか? 現在も生き残っている狩猟採集民の生活を調査したところ、1日の労働時間は4~5時間、1日働けば2日は働かずゴロゴロしているという、サラリーマンからすると羨ましい環境であったという。

狩った獲物や集めてきた木の実などは、働けない老人や子ども、障がい者にも平等に分配され、獲物や木の実などがとれなくなったら、その場所から移動した。

そんな生活を続けてきた人類だが、約1万年前に農耕を発明する。

それまで野生のムギを採集しようとすると、ムギはバラバラと地面に実を落としてしまう。すると採る量が減る。しかしある日、実が落ちないムギが現れた。突然変異である。この種類は採りやすい。人類はこの種類を好んで採集するようになる。

しかし採りきってしまうと、次に同じ土地に移動してきても、生えているムギが減っていることがわかると、人々は採集したムギを食べきらず決まった場所に撒くことにした。

するとムギを探しに行く手間もはぶける。やがてその土地にとどまってムギを大切に育てることにした。農耕のはじまりである。

するとどうだろう、これまで1日4~5時間の労働時間だったのが、朝から雑草むしりしたり、ムギを食べにくる動物などから守らねばならなくなった。労働時間は早朝から日没まで、休日はなくなった。

といっても、狩猟採集を完全にやめたわけではない。人類はオオカミの一種を飼いならし、イヌとして狩猟の手伝いをさせた。

イノシシや野牛を捕まえ、食べるだけではなく、育てることにした。イノシシはブタになり、野牛はウシになった。人類はこれら家畜の世話にも追われるようになった。

収穫した作物をネズミが食べにくるため、ネコを飼うようになった。

作物や家畜の世話は土地に縛られるため、土地争いが起こり戦争がはじまった。

収穫の多い者と少ない者が出て来て貧富の差ができた。

それから数千年がたち現代に至る。

いまやムギは世界中で栽培されるようになった。野生のオオカミやネコ科のトラやライオンなど、野生種はどれも絶滅危惧種だが、イヌやネコは数億匹もいる。特にペットの小型犬やネコは働きもしない。

ライムギやオーツムギは、もともとコムギやオオムギの近くに生えていた雑草で、人間に引っこ抜かれていたが、やがて突然変異を起こし人間が栽培するようになった。

作物や家畜を人間は支配しているつもりになっているが、生物の目的が種の繁栄と継承だとすると、彼らはわざと人間に世話をさせるように仕向けたのかもしれない。

最新科学では植物たちは、お互いに話し合ったり嗅覚や触覚など五感以上の感覚があり、記憶力や知能もあることがわかっている。

どちらにせよ、我々人類は生きるために彼らの世話をし続けなければならないのだ。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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