「ある時、中途採用で20代半ばの若い女性社員が入ってきました。私が指導する立場になり、しばらく隣のデスクに座ってもらうことに。いろいろ指示を出しつつ、業務を行ってもらいました。
ある日、私が少し早く出社すると、彼女が自分のデスクを掃除していたんですね。さらに、隣の私のデスクにまで丁寧に雑巾をかけてくれていました。そんな姿を何度か見かけ、感心したので、より熱を込めてアドバイスを送るようになりました。すると、私のデスクを念入りに掃除してくれるようになりました」
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部下の行動に感心しつつも、もしかしたら自分に特別な感情を抱いているのかもしれないと思ったそう。だが、それが間違いだったことに気付く…。
「2か月ほどして、彼女はひと通りの業務をこなせるようになり、デスクを移動しました。以来、私のデスクを掃除してくれることもなくなってしまいました。
それからしばらくして、社内の飲み会がありました。私は彼女と隣に座ったタイミングで、掃除の件について伝えたんです。“嬉しかったな”とお酒が入っていたこともあり、すんなりと言えました。
しかし、彼女の反応は、私が思っていたのとは違う内容でした。“口から唾液が飛んでいたので”と言うのです。“衛生上良くないと思ったので掃除した”と…。お酒が入っていることもあってか、ストレートに言われてしまいました。私は自分の思い違いに恥ずかしくなり、何も言えなくなりました」
行動で示していたにもかかわらず、態度を改めない上司に対して、彼女もさぞ腹が立っていたことだろう。熱心に指導するほど、状況は悪化していたはず。素直に伝えられる、お酒の場があって良かったかもしれない。
写真・Nenad Stojkovic