後任選考のキーパーソンであるNPBの井原敦事務局長は栗山監督の退任を伝えた後、「まだ何も決まっていません」(5月30日)と答えた。記者団が「人選や、選考の方法など…」とさらに問い詰めようとすると、その質問を途中で遮って、「ですから、まだ何も決まっていません」と、ちょっと強い口調で繰り返し答えた。
井原氏は、侍ジャパンの強化委員会委員長も兼務している。強化委員会は温厚な人が多い。こちらが知る限りだが、仮に「次の代表監督に推したい」と思うプロ野球OBがいたとしても、自分の意見を押し通すようなメンバーは一人もいない。
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委員長が意見を集約していくと思われるが、こんな情報も流れていた。
「栗山監督の続投案も聞かれました。世界一になった後ですよ、次の代表監督は優勝して当然、負けたら大変なことになります。誰も引き受けてくれませんよ」(球界関係者)
栗山監督がWBC決勝戦の直後に、「明日から肩書きのない人に戻る」とあえて発言したのは「続投案」を聞かされていたからで、それを辞退する意味合いもあったのでないか、と。
決勝戦を終え、大団円のお祭りムードの中で言うセリフではなかった。
「精神的な苦労も多かったと思います。特に選手選考の時がそうでした。代表チーム入りさせるメンバーを決めて、それを書き出したメモを見ては考え出し、変更して、決め直した後もまた考え始めて…。選手を派遣する側の球団のメンツにも配慮しなければなりませんし」(前出・同)
この選手を派遣する側の「球団のメンツ」というのが、次期代表監督の人選にも影響してくるかもしれない。
「強化委員会は12球団とは直接の関わりのない人も大勢います。利害関係で次期監督が選ばれることはありません」(ベテラン記者)
良い傾向だと思う。しかし、こんな言い方も出来る。チーム運営に関わった経験がないため、ビックリするような監督の人選もされる。「ビックリするような」とは12球団側の感想だが、近年の侍ジャパンでは指導者経験のないプロ野球OBが選出され、その理由として、過去の代表チームでの功績を説明されてきたからだ。
栗山監督の後任も“意外な人選”になる可能性が高い。
今年11月、第2回アジアプロ野球チャンピオンシップが行われる。24歳以下、あるいはプロ入り3年以内の若手で「代表チーム」が編成されるが、それが新監督の“お披露目”となりそうだ。
「次の監督? 12球団の監督経験者のOBも『フリー』になっているので、その人たちも候補者として名前が挙がってくるでしょう。次期監督は、本当に予想できません。強化委員会メンバーの12球団との関係性が見えないので」(前出・同)
2024年の第3回プレミア12、26年開催予定の第6回WBCでの2連覇が目標となる。井原事務局長は記者団の「第2回アジアプロ野球チャンピオンシップに向けて、ゆっくり考えていくという…」の質問に、
「おっしゃる通りです」
と答えた。早ければ、オールスターゲームの前後に発表されるそうだ。(スポーツライター・飯山満)