長年ネックとなっている投球回数を増やせない先発陣の問題はこのカードでも露呈し、初戦の石田健大は4回、2戦目のロバート・ガゼルマンは3回、3戦目の笠原祥太郎も3回で降板。それでもゲームが大崩れしなかった原因は、チームのストロングポイントでもあるブルペン陣の踏ん張りに他ならない。
ただ長年フル回転しているエドウィン・エスコバー、昨年71試合登板の伊勢大夢らの負担を減らす意味と、ビハインドの場面で回またぎも辞さない安定したピッチャーの台頭が待たれる。
そこで昨年、ファームながら22試合登板、32回2/3を投げ奪三振41、奪三振率11.30、自責点もわずか4で防御率は1.10と無双のピッチングを披露し、イースタン・リーグ優秀選手にも輝いた石川達也が、2日のゲームで好投を披露。連勝の上4回までに4点と打線に火がついているタイガース打線に対し、最速147キロのストレートで押しまくるパワーピッチを見せた。オープン戦ではコントロールがままならず甘くなったボールを痛打されていたが、この日はチームの方針であるゾーン内での勝負も徹底され、結果2イニングを34球、被安打1、奪三振4の結果を残し、三浦大輔監督も合格点を与えるナイスピッチングだった。
昨年オフは飛躍に向けて、法政大学の先輩でもある三嶋一輝、石田らと一緒に神奈川・厚木で自主トレに参加。プロ入り前からけがに泣かされていたが、キャンプ、オープン戦も一軍を外れることなく完走し、念願の開幕一軍の座をゲットした「勝負の年」と位置づける今シーズン。
「個人的には一軍で一年間戦っていければいいなと思います。チームのリーグ優勝、日本一に、なにか一つでも貢献できればと思っています」とチームの悲願のピースとなることを掲げた生粋のハマっ子左腕は、まず与えられたポジションで結果を残し、徐々にチームに欠かせぬ存在をめざす。
取材・文・写真 / 萩原孝弘