WBCに招集されている不動のセカンド・牧秀悟とファーストのネフタリ・ソトがチームを離れている関係もあり、内野を器用にこなす林に多くの出場機会が与えられている運もある。しかし同タイプの柴田竜拓やドラゴンズから新加入の京田陽太らを明らかに上回る数字を残し、いまのところ開幕一軍に当確ランプをともしていると言っても、決して過言ではないだろう。
林の魅力は50メートル5秒7の俊足を活かした躍動感あふれるプレースタイルと、自らも認める積極性。これは三浦大輔監督が就任した際に「いかにホームを踏むか」と多彩な攻撃で得点力アップを掲げた理想にピッタリと当てはまるパーツとなっている。
昨年リーグ2位まで躍進したが、バッティングのチームとのイメージとは裏腹に、実際はリリーフ陣を中心とした投手陣の踏ん張りで戦い抜いているのが現状。大きなリードで相手バッテリーを揺さぶり、思い切ったスタートからの盗塁も高い成功率を誇り、送るべき場面ではしっかりと打球を殺す小技もこなす。
また打席での粘りも特出モノで、象徴的だったのは土曜日に行われたソフトバンク戦、2点リード2死満塁の場面。百戦錬磨の又吉克樹相手に3球で追い込まれるも、シュート、ストレート、チェンジアップに対しミートポイントを身体の近くにずらすとともに巧みなバットコントロールで逆方向にファールで逃れながら、最後はインコースに来た9球目のカットボールを引っ張ってタイムリーヒットとした。
「必死に食らいつきました。いいところに転がってくれて良かったです」とコメントしたが、コースに逆らわずに打ち返す技術は新人離れしている大卒ルーキー。シーズンインしてからも、好守に新しいオプションをもたらす存在として輝いてくれそうだ。
取材・文・写真 / 萩原孝弘