北海道日本ハムファイターズの新庄剛志監督が新球場の感想を聞かれ、そう答えた。苦笑いを浮かべている、そんな感じの表情だった。
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3月14日、新球場・エスコンフィールドHOKKAIDOで初めてのオープン戦が行われた。スコアは「3対1」で埼玉西武の勝利。どちらかと言えば、投手戦である。なのに、新庄監督が“大量得点”を示唆したのは、球場の特徴のためである。
「天然芝のせいだけではありません」(関係者)
1点差の5回表だった。二死二塁で、西武の4番・陽川尚将選手の放ったレフト前ヒットの打球を、松本剛左翼手が後逸。打球を追いかけていく間に二塁走者がホームイン。エラーによる失点が“ダメ押し点”になってしまった。
同球場は内外野ともに天然芝が敷かれている。一般的に「天然芝の球場は打球が失速して行く」と言われるが、松本が後逸した理由はそれだけではない。
「問題は、天然芝の下。下の土が軟らかく、それが打球の勢いをなくさせたようです。芝生の長さも打球の軌道に変化を与えたみたいですが」(前出・同)
試合開始の約1時間前、「初めて」ということで、審判団と新庄監督がグラウンドを歩きながらチェックをしていた。
「けっこう前に来させてたんですけど、ボールが転がって行かない」
新庄監督の感想だ。しかし、打球の軌道の変化は想像以上だったようである。
また、同日は午後2時の試合開始だったが、照明も点灯された。センターバックスクリーンの後方には自然光を取り入れるため、約70メートルにわたるガラス壁が設置されている。
このガラス壁のおかげで、グラウンドはプレーに影響のない明るさが保たれていたように思えた。照明灯をつけたのは「テストを兼ねて」だと思われるが、新庄監督は、「ちょっと眩しかったみたい」と話していた。
前出の関係者によれば、同日の照明は70%以下しかつけていないとのこと。今後、デーゲームで照明灯にスイッチを入れるベストの割合も模索されそうだ。
「上は光の加減」、「下は天然芝と土の柔らかさ」。外野手のセンスが勝敗を分ける球場でもある。
ドラフト1、2位ルーキーが「開幕一軍」をほぼ確定させた。4回1失点と好投した2位・金村尚真投手(富士大)について、建山義紀投手コーチは「ローテーション入り? 異議を唱える者は一人もおりません」と言い切った。1位・矢澤宏太選手(日体大)は代打で途中出場し、そのまま右翼の守備についた。新庄監督が魅せてくれたのは8回で、矢澤がマウンドに上がった。同球場のブルペンは外野にある。矢澤はベンチ前でもキャッチボールをしていなかったが…。
「ベンチ裏の打撃練習用のスペースで肩を作っていました」(前出・関係者)
新庄監督は矢澤の二刀流について、「例えば伊藤(大海)クンが7回まで投げていて、左バッターの時に矢澤クンがピッチャー、伊藤クンがライト。1人抑えたら戻して」と語っていた。大谷翔平選手に続く2人目の二刀流は「リリーフ」となりそうだ。
矢澤は捕球が難しい外野守備も無難にこなしていた。新球場のキーマンはこのオトコなのかもしれない。(スポーツライター・飯山満)