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明治時代の肉食拒否に似ている昆虫食拒否

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昆虫食

徳島県の県立小松島西高校・食物科で、コオロギパウダーを使った給食を試食で出したことが話題になっている。

否定的な意見が多く、それらを見ていると明治新政府が日本人の体形が貧弱であるのを気にして肉食を奨励し、明治帝が牛肉を食べたことを発表した時代に少し似ているのかもしれない。

明治帝が牛肉を食べたことを知った山岳信仰の行者の集団が、抗議のため皇居に白装束に身を固め日本刀を持って乱入、4人が射殺されるという事件まで起こっている。

新しい食文化を取り入れるということは、それほど人をヒステリックにさせるものなのかもしれない。

五大陸の人類はすべて、昆虫を食べて来た。古代ギリシャや古代ローマでも盛んに食べられていて、アリストテレスは「セミはとても美味しい」と述べている。

食のタブーが多いユダヤ教でもイナゴは食べてもいいと旧約聖書に書かれており、イエス・キリストに洗礼を施した洗礼者のヨハネはイナゴを食べていたと福音書にある。

なぜいま昆虫食に注目が集まっているかというと、1950年の世界人口が約25億人だったのが、いまでは80億人を超えている。当然、心配なのは食料不足だ。

いま地球が80億もの人口をまかなえているのは、高度な農業技術や畜産技術だ。しかし90億、100億となってくると、いまのままで間に合うのかどうかはわからない。

その点、ウシやブタを一頭育てるより、コオロギなど昆虫は、養殖工場でたんぱく質を安く大量に生み出すことができ、またいま問題になっている地球環境にも優しいからだ。

昆虫食というと昆虫の姿のまま食べることをイメージする人もいるが、多くはパウダーにしてパンやビスケットなどに練りこんだり、代替肉に形成したりすることがほとんどになるだろう。

さて、いま陰謀論者の中で、ワクチン陰謀論に続いて「昆虫食陰謀論」が盛り上がっているようだ。

なんでもディープステート(闇の政府)が、発がん性のある昆虫食を広めてがん利権を狙っているとか、庶民に昆虫を食べさせて自分たちがおいしい肉を独占するためとか、ある意味その発想はないわ~と、かえっておもしろい。

なんにせよ昆虫食は、やがて100億人以上になるであろう人類を飢えさせない良い作戦だと思う。

ちなみにぼくは20代の頃、長野県の八ヶ岳の農家に住み込みで農業のアルバイトをしていたのだが、そのとき生きた蜂の子や蜂の子ごはんをご馳走になったことがある。実に美味であった。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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