実戦形式のシート打撃では、ダルビッシュ有投手が登板。いきなり、中日・岡林勇希外野手の右ヒザに150キロ強の剛球をぶつけてしまうアクシデントもあったが、2イニング目以降は無難に抑えてみせた。
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「岡林の状態? ベンチに下がる時は森野将彦打撃コーチに抱えられていました」(地元メディア)
当たった瞬間、ゴツンという音が取材エリアまで聞こえた。チーム関係者によれば、大事には至らなかったとのことだが、その後、ダルビッシュは連打を浴びている。
“大投手”でも精神的ショックは隠せなかったわけだ。その後、10分ほどのインターバルを経て立て直してきたのはさすがである。立浪和義監督はそんなダルビッシュの「修正力の高さ」を若い中日の投手陣にも見習ってほしいと思ったのではないだろうか。
同日のほぼ同じ時間帯、タクシーで約20分、10kmほど離れたナゴヤ球場で、中日二軍と社会人チームのプロアマ交流戦も行われていた。こちらの注目は、根尾昂投手だ。
「2日の試合で投げることは、2月27日に根尾にも伝えてありましたが。その結果次第では一軍昇格の可能性もあったんですが」(球界関係者)
社会人チームとの交流戦での結果は、1イニングを投げて被安打2失点1。昇格の可能性は「ない」と言い切っていいだろう。失敗の原因は、“修正”できなかったことだ。
根尾に期待が集まり始めたのは「登板」が通告された2月27日だった。
「打撃投手で投げたんです。キャンプ中とは別人、見事なピッチング内容でした」(前出・同)
キャンプでは二軍スタートとなった。そのキャンプ中の2月8日、根尾は打撃投手としてマウンドに上がったが、制球力に苦しんだ。二軍首脳陣の逆鱗に触れたのだろう。以後、実戦形式の練習では投げさせてもらえなかった。
ようやく実戦投球が許された2月27日に名誉挽回、対外試合での登板も決まったのだが、ここでまた、評価を下げてしまった。
「根尾は直球中心で行こうと試合前に決めていたみたい。でも、その直球がイマイチでした」(前出・同)
直球メインの作戦で臨んだ理由は、「実戦=高揚する」と予想し、ストライクカウントを確実に取るため。「高揚する」の予想は当たったようだが、甘く入ったところを痛打された。変化球を織り交ぜるなどの工夫があれば、結果は違っていたはずだが…。
「昨年オフ、根尾はアメリカのトレーニング施設まで行って、『投手』としての体を鍛え直してきました。フォークボールの精度も高まり、その努力は中日首脳陣も認めていましたが」(前出・地元メディア)
その成果を出せなかったナゴヤ球場での投球内容だが、全19球中変化球は1球だけ。立浪監督は根尾を先発投手として育てていきたいという。長いイニングを投げる先発投手は臨機応変に対応しなければならない。
3月3、4日に中日と侍ジャパンは壮行試合を行う。根尾は代表チームの投手たちの投球にどんな感想を持つだろうか。(スポーツライター・飯山満)