新年早々の今年1月12日、アメリカ国防総省はAAROの進捗状況を示す、UAPに関する2022年分の年次報告書を提出した。
>>アメリカ国防総省のUFOタスクフォースとカナダ軍関係者が会合、UFOに対して足並みをそろえる?<<
これは2021年6月に出された予備評価の更新版として作成されたもの。驚くべきことに現在同室が収集したUAP関連報告の総数はなんと510件に達しており、2021年3月以降は「今のところ原因不明のUFO目撃情報が350件以上報告されている」と、国家情報長官室が発表している。
報告書によると、UAPのうち26件はドローン、163件は「風船または類似の物体(鳥や風に飛ばされたビニール袋)」。6件は単なる「クラッタ(レーダーの電波が海面や雨などによって反射されて発生する、不要な電波)」と分類されたと説明している。
一方で、寄せられたUFOの報告のうち、半分以上が専門家によっても説明できない現象であることが確認されている。また、既存の情報では説明のつかない謎の目撃例もあることが分かった。
それを踏まえて、「これらの未確認航空現象(uncharacterized UAP)のいくつかは、異常な飛行特性または性能能力を実証したように見え、さらなる分析が必要である」との声明も出ている。
残念なことに(?)、今回の年次評価では「地球外生命体や他動的現象の可能性」については触れられなかったそう。一方で、UAPがパイロットにとって脅威となることを警告している。
また、今回の報告書では、2年前に実施された調査結果よりもUAPの疑わしい報告が急増している理由についても言及。「人々がUAPに対して、飛行の安全を妨げる危険性がある物体、あるいは潜在的な敵国の情報収集プラットフォームとして使用されている可能性など、UAPが内包している脅威について、よりよく理解するようになったためではないか」と見解を示している。
UAPとエイリアンの関係性に関する言及がなかったことに対し、海外のUFO愛好家たちからは失望の声も上がっているそうだ。だが、報告書は暗にUAPが「中国やロシアなどによる飛翔体」であった可能性もあると示している点が興味深い。今後のAAROの調査結果にも注意していきたいところだ。
山口敏太郎
作家、ライター。著書に「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」、テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。
YouTubeにてオカルト番組「アトラスラジオ」放送中
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https://www.dailystar.co.uk/news/world-news/government-sees-huge-spike-ufo-28959623